感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ニミッツクラス
26
86年(昭和61年)の2500円の単行本初版。国書のアーカムハウス叢書の一冊で、著者真骨頂の海洋奇譚13編を収録。前年に出た創元Fレーベルの8編収録の短編集「夜の声」とは5編が重複(コメ欄)している。本書のカバーは原書流用で、似た情景の多い作品群だが巻頭2作目の「漂流船」のイメージだろう。「ウドの島」と「岬の冒険」はジャット船長とピビー水夫の連作物。雑な扱いを受けるピビーだが結果的に漁夫の利を得ているのが要領良くて笑える。「石の船」は奇妙な状況についてのマトモな解釈があり、本書中では異色作。★★★★☆☆2024/02/23
Kouro-hou
19
アーカムハウスから出たW・H・ホジスン怪奇短篇集(13篇)の邦訳版。創元の短篇集『夜の声』(8篇)とは5篇重複しており、創元は怪奇&ミステリ、こちらは幻想よりのセレクト。国書刊行会という事で定価も古書価格も高いw あえてALL海モノ短篇という事で似たり寄ったりの内容もあるが、襲ってくる連中はアレやカビや蟹や魚など多種多様で「海コワイ海いきたくない」という気分になれますw 戦前に日本に抄訳が紹介され、そこから夢野久作が『瓶詰の地獄』の着想を得たのではないかと荒俣宏が指摘する「静寂の海から」も収録されてます。2016/04/12
紫
3
英国怪奇作家W・H・ホジスンの怪奇小説短編集。底本は1967年に刊行されたオーガスト・ダーレス編によるアンソロジーでして、同氏による序文もきちんと訳されているのであります。読んでタイトルのごとく、テーマは海。全十三編の収録作中、巻頭の『海馬』を別にして残りは全て航海中に遭遇した異常な出来事という設定なのは著者の八年間の船上生活が反映されているのでしょうか。幽霊船に遭遇するか、海上で怪物に襲われるか、サルガッソー海に漂着するか、どうしても似たような設定がかぶってしまうのは御愛嬌。星5つ。2022/05/24
sakamoto
1
『夜の声』は映画『マタンゴ』の原作。2013/06/07