バベルの図書館
ルゴーネス - 塩の像

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  • サイズ A5判/ページ数 143p/高さ 23X13cm
  • 商品コード 9784336025739
  • NDC分類 963
  • Cコード C0300

出版社内容情報

ボルヘスに多大な影響を与えたアルゼンチン作家の、百科全書的知識を駆使した幻想短篇集。チンパンジーに言語を教える男の話「イスール」、聖書を題材にした「火の雨」「塩の像」他「アブデラの馬」等7篇。

著者紹介
ルゴーネス (ルゴーネス)
1874-1938。アルゼンチンの詩人、小説家。ボルヘスの師。主な作品に「庭の黄昏」がある。

牛島信明 (ウシジマノブアキ)
1940年生れ。東京外国語大学教授。主要著訳書--『反=ドン・キホーテ論』(弘文堂)、パス『弓と竪琴』(国書刊行会)、ガルシア・ロルカ『血の婚礼 他二篇』(岩波文庫)、セルバンテス『ドン・キホーテ』(岩波少年文庫)ほか。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

214
ルゴーネスは、この『バベルの図書館』で初めて知った作家。編者のボルヘスによれば、「アルゼンチン文学を一人の人物で象徴させるような存在」であるらしい。ここには7つの短篇が収められていて、そのすべてがかならずしもそうではないのだが、いずれもが月の光に彩られた物語という印象を強く残す。「フランチェスカ」はその典型なのだが、それはまさしく成就することを運命的に禁じられた、優雅なる冷酷の物語だ。そして、作中人物たちの情動が激しく動くことはなく、そこでは常に静かなのだ。「塩の像」が表題に取られたのもこの故だろう。2013/05/09

KAZOO

105
この編者についてはいくつか岩波文庫でも読んでいるのですが作者はまるっきり初めてでした。この中に収められている短編(7篇)はどのアンソロジーでも読んだことがありませんでした。伝奇的あるいはSF的な話もあったりで楽しめました。また訳も牛島先生の訳で非常に読みやすさがありました。2021/03/09

燃えつきた棒

48
ボルヘスの格調高い序文が、かえってハードルを上げてしまったようで、なかなか気に入った作品に出会わない。ようやく、巻末の「ジュリエット祖母さん」に救われた。何しろ書き出しが良い。人間嫌いときては、思わず引き込まれてしまう。 『人間嫌いが昂ずるにつれ、エミリオがあたためる親交というのは、もはやたったひとつだけになってしまった—二十歳ほども年上だが、彼と同じく独身の、伯母にあたる老嬢オリビアとの親交である。エミリオはもう五十歳であった、ということは、オリビアは七十歳になんなんとしていたということである。』2019/09/19

内島菫

26
「イスール」での、猿がしゃべらないのは仕事をさせられたくないからであり、人類による不当な仕打ちに抗するために言葉という不吉なものを捨て自ら沈黙することを選択した、という設定は面白かった。恐らく誰しも、何もない沈黙ではなく何かを守るための沈黙に沈むことは多々あるだろう。カフカの「ある学会報告」の猿が、ひとつの出口への願望としてしゃべった(人間化した)とするならば、本編の猿は、もともと出口としてしゃべらないことを選択したものを、出口のない状態に戻されてしまうことになる。 2018/07/13

藤月はな(灯れ松明の火)

24
「火の雨」は旧約聖書のソドムとゴモラの話を下敷きに描いていますが身体や家を焼かれて苦痛で叫ぶ人間よりも渇きで水を求めるものの見つからず、天を仰ぎ、本能的に「神」とも呼ばれる意志に「なぜ、このようなことをするのか」と問いかける如く、咆哮する獅子の様子の方に全ての「問い」の根源を見出すように圧倒的で鳥肌が立ちました。「フランチェスカ」の時が止まった恐ろしさを物語るラスト、純愛など絶え間のない時の流れには残酷なものでしかないことを示す「ジュリエット伯母さん」、「塩の像」の答えの恐ろしさとまさに圧巻とさせられます2012/12/04

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