感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ヴェネツィア
266
下巻に入っても、マスカルの一人旅は続く。ナイトスポアとクラーグが登場するのは、ようやく終盤にさしかかってからである。リンゼイにあっては通常の意味での構成といった意識はないようだ。そして、相変わらずマスカルが遭遇するのは奇妙な人物ばかり。しかも、常に死と隣り合わせである。彼らはいずれも独自の世界認識を持っているのだが、読者である私たちは、それをどのように捉えていいものやら分からない。訳者の荒俣宏の解説によれば、その世界観はマニ教に由来するものであるというのである。それなら私の直観『ツアラトストゥラ』⇒2023/09/14
毒兎真暗ミサ【副長】
22
異世界の惑星トーマンスで、異形だが美しい人間と交流し旅をするマスカル。本作はマニ教を意識して書かれたものだが、その戒律の一つにある【禁欲】がこの物語の核となっている。誘惑に 耐えながらの数奇なエピソードは意味不明に感じるが、この物語を読んでキリスト教になぞられた韓国映画『哭声』が彷彿とさせられた。映画単体だけを見ると意味不明だがキリスト教徒の方が観ると……という制作法。つまりこの物語もそうなら(『哭声』のほうが本作よりの35年後の制作)その未知への先人となる作家リンゼイの理想世界の完成形となるのだろう。2023/10/04
シロノワール・アカカエ
1
ミステリー的要素は難解な哲学の方向へ。わからないままひたすら異世界探検を楽しむ。2015/09/25
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- 和書
- 内藤廣設計図面集