内容説明
夢は透明なフォルムであり、テクストである。今最も期待されるラカン派の精神分析学者が、フロイト、ラカン、バルト、レヴィ=ストロース、クラインらの方法をとり入れながら、夢が、主体の欲望に支えられた言語活動そのものであること、とりわけ「文字」を中心としたシニフィアンの動きであることを理論的に明らかにする。さらに夢と妄想の関係についても新視点を提供する。
目次
第1部 テクストとしての夢(夢テクストの構成―人工妊娠中絶後の心因性嚥下障害の精神療法から;夢からの帰路のためのチャート―在と不在の往復運動をたどる)
第2部 シニフィアンとしての夢(精神療法の経過中に出現する妊娠と赤ん坊の夢心像について―転移における幻想の構造に関する一試論;精神療法の経過中に出現する「文字」の夢心像について―フロイトからラカンとデリダに至る「エクリチュール」の系譜;ロベルト・シューマンの夢と音楽における「文字」の心像について)
第3部 夢から妄想を通って自殺へ(現実生活の象徴的先取りとしての妄想形成―守護妄想の一例をめぐって;精神分裂病の妄想世界における自殺の問題―展望と一つの理解の試み)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
LUNE MER
2
大学時代に一般教養でとった心理学の講義のテキスト。普通に興味深く、一気読みした記憶がある。 フロイトとラカンの夢診断のあり方の差異が患者層の違いから説かれており、ほぅほぅと引き込まれた。 私自身は数学専攻なので全くの専門外なのだが、やはり大学教育というのは専門分野をコアとしながら広く様々な世界に触れられる場を提供してくれるものだということを改めて感じる。
暇餅
2
なるほど確かにとはあまり思えなかったしこの分野の初心者には絶対理解出来ないでしょ、と思うところも多々ありましたが、精神分析ってこういう考え方するんだな、というのは楽しめました。やっぱり装丁に無駄に懲りすぎて高すぎる感は否めないが……。2015/08/05