出版社内容情報
「すばらしい世界旅行」のディレクターが異文化の扉を開く!
本書は、1966年の番組スタートから終了までの24年間、国民的人気番組「すばらしい世界旅行」のプロデューサー/ディレクターとしてアジア太平洋地域を担当した市岡康子さんの、多数の貴重な写真も魅力的な「体験的フィールドワーク論」です。
当時は海外旅行も一般的ではなく、外国といえばアメリカとヨーロッパという時代に、パプアニューギニア、インドネシア、カンボジア、タイなどの非西欧世界を紹介した番組は画期的でした。
裸で暮らし、貨幣もたいした意味を持たず、畑を耕し豚を飼い、森林の恵みで自給自足している人々。
西欧文明に染まった私たちの価値観をひっくり返すような世界でした。
1年の半分近くフィールドに滞在し、現地の人々に深く入り込み、上っ面ではない番組を作り続けたドキュメンタリストの、手に汗握るフィールドワークの日々は、昨今の浅薄なテレビに飽いた人たちの共感を呼ぶものと思います。
内容説明
テレビ番組「すばらしい世界旅行」は、欧米中心だった日本人の意識を未知の世界へといざなった。著者はこの番組のディレクターとして、長期にわたりアジア太平洋の民族と暮らし、多彩な作品を送り出した。本書はその制作現場の生き生きとした記録である。
目次
ドキュメンタリストへの道
ライフワークとなった「すばらしい世界旅行」
民族文化のパターンを発見する―トロブリアンド諸島の女たち
縁者の頭蓋骨を愛おしむ―シベルート島深奥部に先住民を訪ねて
ディレクターの仕事は問題解決業と見つけたり―ニューアイルランドのサメ漁
共産圏でドキュメンタリーを撮る―中国雲南省と無錫市の場合
政情不安の地、カンボジアで憑依を撮る―アンコール地方の霊媒ルップ
石器時代から抜け出して25年のダニ族と再現ドキュメンタリーを撮る―文化復元としてのフィルム
定点取材の原点―北タイの山地民アカ族
部族戦争のスクープはロードムービーから―パプアニューギニアのハイランド・ハイウェイをゆく
カルリ族映像制作からボランティアへ―ボサビ山で草の根開発を考える
著者等紹介
市岡康子[イチオカヤスコ]
1939年中国長春生まれ。東京都立大学人文学部人文科学科卒業。62年日本テレビ入社、『ノンフィクション劇場』『20世紀アワー』『すばらしい世界旅行』など、テレビドキュメンタリーの制作を担当。72年、テレビ番組制作会社の「日本映像記録センター」の設立に参加。66年から90年まで『すばらしい世界旅行』のディレクターとして、アジア太平洋を専門のフィールドに各民族の固有の生活と文化を民族誌的な視点から記録。2001~2007年立命館アジア太平洋大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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