内容説明
なぜ見田宗介は、真木悠介を必要としたのか?徹底した実証と深い洞察が、この魅惑的な謎を解き明かす。
目次
序の章 主題としてのテクスト空間―読者の読み解く力によせて
1章 「純粋戦后派の意識構造」(19600423)―戦争はいかなる意味をもったか
2章 「死者との対話」(19630101)―比較文化論の位相
3章 「現代における不幸の諸類型」(19631220)―素材の拡張と方法論の整備
4章 「質的データ分析の方法論的諸問題」(19650303)―安田三郎との「論争」の理解をめぐって
5章 「近代日本社会心理史の構想」(19670101)―流行歌の分析と未成の社会心理学
6章 「解放の主体的根拠について」(19690801)―学生闘争をどう受けとめたか
7章 「未来構想の理論」(19700601)―人間的欲求と相乗性/相剋性
8章 「まなざしの地獄」(19730501)―場としての“個人”と社会意識論の本願
9章 「「共同体」のかなたへ」(19760901)―比較社会学の翼にのって
10章 「柳田国男『明治大正史世相篇』解説」(19780725)―幾千の目と幾万の心
結の章 未来構想の夢よりも深く―自我の起源と現代社会のゆくえ
著者等紹介
佐藤健二[サトウケンジ]
1957年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科教授。社会学博士。専攻は、歴史社会学、社会意識論、社会調査史、メディア文化など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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小鈴
21
胸熱(ムネアツ)だ。真木悠介は見田宗介のペンネームだが、研究者が筆名を使うのは珍しい。私は90年代に見田宗介の著作を追うように読んだので、当時の生々しさを知らない。うっすら噂を聞く程度にしか。この本は一流の書誌フィールドワーカーが見田宗介という森=あらゆるテキストの山から「真木悠介」がどのようり成立したのか丹念に読み解く。時代と真摯に向き合う見田宗介の姿はもう一つの戦後史だ。見田宗介=真木悠介は、このテクスト空間に「読者が訪れる限り、生きているのである」。私達は繰り返し見田宗介に出会うだろう。2020/11/19