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内容説明
メディアとしての出版流通が、読者にひらく可能性とはなにか?日本の出版産業は、流通に最大の特徴がある。人が本と出会い、選び、買って読むということが、どのような場面で、どのような動機や文脈をもって行われ、誰によって形成されてきたのかを、出版産業・流通史をもとに検証する。
目次
第1章 メインストリームの系譜(近代メディアの産声;出版メインストリームの形成;「世界最高のシステム」建設へ)
第2章 赤本の近代(近代赤本の登場;赤本の周縁化と特価本市場;流通の体制化と赤本)
第3章 購書空間の変容(棚の購書空間;開かれる購書空間)
第4章 近代テクノロジーとしての取次(卸という近代性;雑誌流通のミッション;さまよう「書籍」と近代の相克)
第5章 出版流通の力学(「本屋」と「書店」の意味変容;「書店」と出版流通のダイナミズム)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
25
歴史の中の書店と取次。書籍と雑誌の二重性。2022/10/18
moonanddai
11
出版社から取次を経て書店までという出版業界の流れを、個人の書棚形成にまで延長して、考えようとしたものです。個人の書棚にはそれぞれの思い入れというものがあり、そこに並べるということは、それなりの覚悟みたいなものがあるということ、何となく納得しました。そんな価値観を再編成する場所に、出版業界はいかに働きかけられるか、ですね。/時に、「本屋」の「棚」は書籍のためにあって、「平台」は雑誌や「赤本」「特価本」にお為に用意されたものらしい。とすると、今、平台に並べられるベストセラーは、カテゴリーとしては、「赤本」…?2019/07/14
やまやま
10
日本の近代出版流通は雑誌と教科書で最初のフレームワークを作り、大正から昭和初期にかけて産業として確立したことを丁寧に論じる。関東大震災で壊滅的な打撃を受けるが、復興こそが隆盛への途である。物流の重要性もよくわかる。第二次大戦に向かって国策配給会社日配が作られたが、適正円滑なる配給という一応の理念はあったものの、資源の限りから上位下達式の限定配給に変質せざるを得なかったのも出版に限らず戦時大衆向け産業の同一の軌跡であろう。取次の有用な機能として金融決済機能があるが、この点についても丁寧に説明されている。2020/12/17
維緒
6
卒論資料として。自分が考えている卒論の参考にはならなかったかな。読者側としての「出版危機」「活字離れ」が気になるところ。2014/12/11
どんどこしょー
3
理想の書店について考えるにあたって再読。「自分にとっての価値を探すのは個人であるが、提示されないところから選択は生まれない。」私はイチ書店員として、何を提示できるだろう。読書量の少なさがネックになっている。当たり前のことができていない。落ち込むばかり。2014/12/04