内容説明
太平洋に浮かぶ小さな群島…そこに生きる人の眼から近代世界をとらえなおすかつてない雄大な試み。領土問題を考えるための必読の1冊!
目次
序 群島の想像力
第1章 世界市場と群島のエコノミー―海のノマドの自主管理空間
第2章 主権国家と群島のエコノミー―捕捉される海のノマド
第3章 帝国の“はけ口”と“捨て石”―入植地から戦場へ
第4章 冷戦の“要石”と“捨て石”―占領と基地化・難民化
結 地政学を超える系譜学へ
著者等紹介
石原俊[イシハラシュン]
明治学院大学社会学部教員。1974年、京都市生まれ。京都大学大学院文学研究科(社会学専修)博士後期課程修了。博士(文学)。専攻は、社会学・歴史社会学・地域社会論・島嶼社会論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Hiroki Nishizumi
2
ちょっと学術書っぽくて馴染めなかった。2017/06/11
ハチアカデミー
2
小笠原諸島が「19世紀に無人島から有人島になるやいなや、世界各地にルーツをもつ船乗りたちが離合集散する北西太平洋の海上交通の一大拠点となり、(中略)自律した領域であり続けた」ことを歴史的に明らかとする前半、その地を帝国に組み込み、戦中~戦後(冷戦期)と、〈はけ口〉〈飛び石〉〈捨て石〉として、利用、搾取してきた国家と島の歴史を考察する後半からなる。島という海に囲まれた空間は、様々なる移動民が辿りつく開放性の一方、閉じられた「収容所的空間」となる。そこで何が行われたのかを伝えるライフヒストリーも後半に所収。2015/07/07
hiratax
2
図書新聞の特集で知り読む。 小笠原に関する歴史社会学的研究は手付かずだったと。 戦争の記録がある欧米系住民子孫のインタビューにも成功している。 きわどい歴史の断絶を乗り越えている。 明治初期に小笠原の併合を進めた時、 欧米系住民はクレオール性の高い英語を話し、 通訳を務めたのはジョン万次郎なんだと。 著者が図書新聞のインタビューで述べていた 「社会学の政策科学化への抵抗」は断固支持したい。2014/04/12
takao
1
ふむ2025/04/13
いたる
1
海上労働者の自律的移動性と、その帰結の形式としての〈海賊になること(Becoming Pirates)〉をめぐる議論を、彼らの精神性に踏み込んで整理した第1章が、まさに目から鱗だった。 第2章では、近代を迎えた日本が、多様な出自の人々が暮らし、自律的なエコノミーとアナーキカルな社会領域を形成する小笠原諸島を、どのように国家の主権の範囲に繋ぎ留めようとしたのかが論じられる。 第3章以降は『硫黄島』(中公新書)との重複が多いが、本書は是非とも手元に置いておきたい一冊だ。2021/01/26