内容説明
貧困や格差、雇用、医療・年金・介護、少子化から差別、教育、環境など、社会問題は、社会のなかでひろがりをもち、社会学全体のテーマと重なり合う。わたしたちが生きている社会についての考察を深める手がかりとなる。
目次
第1章 社会問題をいかに研究したらよいのか―構築主義にいたるまで
第2章 構築主義を再構築する―構築の存在論と正義論をこえて
第3章 社会問題の自然史モデル
第4章 社会問題のレトリック分析
第5章 「非実在青少年」規制問題の展開―社会問題のサイクル
第6章 社会問題の経路依存性
著者等紹介
赤川学[アカガワマナブ]
東京大学大学院人文社会系研究科准教授。1967年石川県生まれ。東京大学大学院社会学研究科単位取得退学。博士(社会学)。信州大学人文学部助手、岡山大学文学部講師・助教授、信州大学人文学部助教授などを経て現職。専攻は社会問題の社会学、歴史社会学、セクシュアリティ研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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かつどん
8
社会学とは、その問題に関わるどの主体の意思にも寄り添う事なく、積み重ねられた議論の順序立てを限りなく正確に行う事が一番はないか。各主体に任せてしまうと、必ず自身側にバイアスがかかるだろう。また簡単そうに見えても、主体や議題が膨大だった場合は時間軸を記す事自体が困難であろう。重大な落とし穴を見つける可能性もある。人が意識出来ない所で落ちるのが落とし穴である。これは無意味では?と意識せず通り過ぎてしまいがちな、同じ道を何度もウロウロしてるだけにも見えがちな社会学だからこそ、何か見つけられる可能性がある。2017/04/10
りょうみや
8
確かに言われてみれば、事象の何を持って社会問題とするかは主観的な観点が入る。そこで本書では誰かの問題の申し立てを客観的な社会問題の始まりとして、問題の広がり方、議論のされ方をその問題の外部の視点から取り扱う構築主義の入門書となる。問題の善悪、その解決などに踏み込まず、あくまでその取り上げられ方のみを追う。私にとっては目からウロコ的な新しい視点であったが、著者自身も懸念しているようにそれほど面白さのある内容でもないような。2016/12/15
まあい
2
「非実在青少年」規制問題を例に、構築主義の分析方法について概説する入門書。社会問題について論争する際、いかに主張を組み立てるかを考える上でも役に立つかもしれない。2015/12/19
koyasho
2
構築主義の入門書。筆者が「構築主義なんて何の役にも立たないのかもしれない」と自問自答しているのが生生しくてよい。2014/11/26
you
1
アカデミックな〈構築主義〉に関する最良の入門書。実際の応用例も載っていて非常にわかりやすいが、その分このアプローチの面白みというか「で、結局これって何の役に立つの」という素朴な疑問が最後まで払拭されなかった。いや、この本自体は本当にわかりやすいんだけどね。[8点/10点満点]2015/09/16