出版社内容情報
従来学説への鋭い分析と展開!
「筆者は、若い頃から、民法の物権法、特に担保物権法を専門的に研究してきたが、共同所有、集団による財産の所有の法的構造にも関心を持っていた。そんなあるとき、入会権に関する判例の評釈を書く機会に接したことにより、自分が入会権に関してあまりにも無知であったことに気づいた。それまでの筆者は、入会権が総有という財産帰属形態を表わすという命題の意味を正しく理解せず、判例のいう「権利能力なき社団」の「総有」との違いを十分に認識していなかった。入会権に関する先行研究を調べれば調べるほど、筆者が事の本質をほとんど理解していなかったことを思い知らされた。しかし、同時に、筆者の入会権に対する無理解が、入会権に対する民法学者の一般的な認識の現状を反映したものであるとすれば、むしろ、その状況を改めなければならないと強く感じることにもなった。」(著者はしがきより)
上記のような執筆動機から、ドイツ、日本の「総有」「権利能力なき社団」についての研究を深め、それは民法学説にとどまらず、さらに訴訟法学説にまで踏み込んだ、まさにこれまでの概念に一石を投じるべく深い考察と研究を重ねた刺激的な論攷集!
内容説明
これまでの「総有」「権利能力なき社団」概念に一石を投じる深い考察と研究の書!
目次
第1部 法人格のない社団・組合の法的構造―ドイツ法の議論を参考にして(ドイツにおける権利能力の確立までの議論;ドイツにおける権利能力の確立に伴う論点と法改正;日本法における解釈論)
第2部 近代的な団体と入会集団との異同(実在的総合人および総有の法的構造;判例における総有の概念;入会権の変容)
第3部 民事訴訟における法人格のない団体の地位(法人格のない社団・組合の当事者能力;入会権をめぐる訴訟の形態)
著者等紹介
古積健三郎[コズミケンザブロウ]
1965年11月生まれ。現在、中央大学大学院法務研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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