内容説明
蜜蜂・人体・建築・チェス盤のなかに、宇宙の神的な秩序や社会の理想的なあり方を見出した中世ヨーロッパの人々の世界観を再現する。
目次
序章 中世ヨーロッパの社会像
第1章 蜜蜂と人間の社会
第2章 建造物としてのキリスト教社会
第3章 人体としての国家
第4章 チェス盤上の諸身分
終章 コスモスの崩壊
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
袖崎いたる
5
「見做す」という世界認識は、そのまま事物の価値へと接続していた。そうして見做された世界は見做したものとして政治の駒になった。中世ヨーロッパを支配していた隠喩という世界認識は、神話や宗教原理を仕度した古代という土壌から育った、セカイの設定に寄っていると見てもいいのかもしれない。本書では蜜蜂・人体・建築・チェス盤によって世界ないしは宇宙を見做してきた、中世ヨーロッパ人の宇宙観を、彼らの残した文献の言葉で彼らに語らせるという試みをする。そこにおいては<主‐客>はなく、相似という仕方で主体も客体も溶けているのだ。2015/07/08