「イタコ」の誕生―マスメディアと宗教文化

電子版価格
¥4,950
  • 電子版あり

「イタコ」の誕生―マスメディアと宗教文化

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ A5判/ページ数 424p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784335160868
  • NDC分類 387
  • Cコード C3014

出版社内容情報

盲目の巫女はブームを経て、アニメのシャーマンへ――イタコ文化はいかにして伝説となったか?●盲目の巫女はブームを経て、アニメのシャーマンへ――イタコ文化はいかにして伝説となったか?



死者を呼び出し、生者へのメッセージを伝える盲目の巫女イタコは、1960年代のブームで一躍全国に知られる存在となった。その半世紀後、現実のイタコが高齢化した一方で、マンガやアニメでは少女イタコがシャーマンとして活躍している。東北の民俗宗教はいかにして新しい宗教文化になり得たのか? フィールドワークと資料の発掘、質問調査から丹念に追跡した貴重な論考。

序章 問題の所在

第一部 マスメディアによる《イタコ》像の形成

 1章 大衆文化としての《イタコ》とは何か

 2章 《イタコ》の登場とブームの到来

 3章 「オカルトブーム」と宗教性の“大衆化”

 4章 ステレオタイプの形成と《イタコ》の増殖

 5章 《イタコ》の登場と《恐山》像の変容

第二部 《イタコ》像の普及と民俗文化の変容

 6章 表象の普及と宗教的リアリティの形成

 7章 表象の受容と再生産

 8章 表象の消費と恐山の変容

 9章 恐山の近代化

 10章 《恐山のイタコ》を求める人々

 11章 マスコミのまなざしと自己表象の再編

 12章 巫業の変容

終章 結論

大道 晴香[オオミチ ハルカ]

内容説明

死者を呼び出し、生者へのメッセージを伝える盲目の巫女イタコは、1960年代のブームで一躍全国に知られる存在となった。その半世紀後、現実のイタコが高齢化した一方で、マンガやアニメでは少女イタコがシャーマンとして活躍している。東北の民俗宗教はいかにして新しい宗教文化になり得たのか?フィールドワークと資料の発掘、質問調査から丹念に追跡した貴重な論考。

目次

第1部 マスメディアによる“イタコ”像の形成(大衆文化としての“イタコ”とは何か;“イタコ”の登場とブームの到来―一九五〇年代‐六〇年代;「オカルトブーム」と宗教性の“大衆化”―一九七〇年代‐八〇年代;ステレオタイプの形成と“イタコ”の増殖―一九九〇年代以降;“イタコ”の登場と“恐山”像の変容)
第2部 “イタコ”像の普及と民俗文化の変容(表象の普及と宗教的リアリティの形成―大学生・短期大学生を対象とした質問紙調査をもとに;表象の受容と再生産―地方自治体の観光振興事業を例に;表象の消費と恐山の変容―『東奥日報』『デーリー東北』の「恐山大祭」関連記事を手掛かりとして;恐山の近代化―大正期の「観光化」をめぐって;“恐山のイタコ”を求める人々―二〇一四年度恐山大祭・恐山秋詣りにおける「イタコの口寄せ」の状況;マスコミのまなざしと自己表象の再編―「自文化」としての〈恐山信仰〉をめぐって)

著者等紹介

大道晴香[オオミチハルカ]
1985年、青森県生まれ。博士(宗教学)。横浜国立大学教育人間科学部卒業、東北大学大学院文学研究科博士課程前期修了、國學院大學大学院文学研究科博士課程後期修了。現在、國學院大學大学院大学院特別研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

この商品が入っている本棚

1 ~ 1件/全1件

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

HANA

61
イタコや恐山のイメージが、マスメディアを通じてどう変質していったかを論じた一冊。恐山とイタコ。不即不離の関係のように感じていたけど、その関係が意外と近年に出来たのが驚き。イタコが戦前、そして五十年代に「発見」されてから、ディスカバージャパン、オカルトブームを通じて転変していく様がまずは興味深い。またマスメディアからだけではなく、それを通じた現地の変遷というのは、大祭や観光を通じて双方向性というのが実に目新しく面白かった。自分が漠然と抱いていたイメージ、ほとんどがメディアによって植え付けられていたんだなあ。2017/11/25

Toska

19
主題はイタコでも、民俗学ではなく社会学寄り。非常に面白い。理論的なパートは難物だが、頑張って読み進める価値は間違いなくあります。一地域の伝統的な民俗文化だったイタコが、マスメディアの世界でどのように表象され、そのイメージがオリジナルのイタコにどう反映(逆流)していったのか。明治期の啓蒙政策による弾圧から民俗学的な関心、オカルトブームを経て現在へ。今では「イタコ芸」(初出1989年?)のような比喩表現が成立するほどポピュラーになったイタコだが、オリジナルの方は消滅の危機にあるという皮肉。2025/03/31

owlsoul

8
イタコといえば恐山で死霊を憑依させる巫女というイメージが流布している。だが実際は、イタコが恐山に集うのは祭事の数日のみであり、本来は恐山とは関係ない民間信仰だった。それがメディアによって「恐山のイタコ」と喧伝され、今や菩提寺の信仰をも揺るがす影響力を持つに至る。メディアにより変質したイタコの存在は、本来の姿を失った「偽物」のように思える。しかし、宗教をはじめとする超自然的な世界は、古来から教典、偶像、絵画、儀礼などのメディアの中に存在してきた。メディアに強い影響を受けることは、超自然的世界の本質でもある。2025/02/24

れなち

2
恐山といえばイタコと言っても、意外とその歴史は浅いようです。むしろ伝統的なのは場としての恐山。ただしイタコブームを生み出したメディア批判にとどまらず、ブームが寺院や地域自治体、あるいはイタコの「お客様」など多角的な観点から研究を進めているのがおもしろかったです。恐山大祭や出張イタコの取材も読み応えがありました。2022/02/12

takao

1
博士論文+α2022/05/10

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/11566829
  • ご注意事項