内容説明
ラカン思想の精華『エクリ』の中核論文待望の新訳!1953年ローマでの講演は3年後の本論文でその十全な形を得た。「無意識は一つの言語活動として構造化されている」というラカン思想を貫くテーゼが、精神分析の革命とも言うべき“短時間セッション”の実践的論理の内に息づいている。本論文=本書において、ラカンの理論的練り上げの不変の軸と、その独自の実践を支える論理とが、見事に一つにまとまって呈示されている。―彫心鏤骨の新訳。詳細な訳注を付す。
目次
1 主体の精神分析的実現における、充ちた話と空ろな話
2 精神分析の領野の構造と境界としての、象徴と言語活動
3 精神分析技法における、解釈の共鳴と主体の時間
著者等紹介
新宮一成[シングウカズシゲ]
1950年大阪に生まれる。1975年京都大学医学部卒業。1991年京都大学大学院人間・環境学研究科助教授。1999年から同研究科教授。専攻は精神医学、精神病理学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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PukaPuka
3
フロイト全集5 夢解釈IIの訳者解説に、本論文の新訳を出す動機付けと考えられる説明があったので、読んでみた。原書も見てみたが、歯が立たなかったが、本書の訳が日本語で意味が取れるように相当練られているのはわかった。フロイトを一通り読んでないと理解に無理があるが、今後フロイト全集6巻目以降を読み進めるにあたり、パースペクティヴを与えてくれる一冊である。反復強迫のフランス語の従来訳の直訳は反復自動症で、このあたりがニューロサイエンスの文脈の「自由意志はない」という話と合わせて、今最も関心があるところだ。2016/03/25
園
1
待望、明晰な痛快な新宮訳。ローマ講演。
tamioar
0
晦渋。2019/11/30