内容説明
『啓蒙の弁証法』のネガティヴィズムは、西欧的理性の崩壊ではなくむしろその自己批判能力の証しではなかったか。わが国を代表する9名の論者が、この〈学派〉とその〈後継者〉の思想の襞に分け入りつつ、状況の最深部で時代に対峙する批判理論のアクチュアリティを多角的に浮かび上がらせる書下し論集。ハーバーマスとA.シュミットの短篇を付す。
目次
1 問題状況(理論と実践の間;アドルノ対ハバーマス?)
2 哲学的基礎(アドルノにおける弁証法の問題;ハーバーマスの真理論)
3 芸術の根源(ミメーシス;アドルノにおける音楽と〈自然〉および〈自然支配〉;競技者ベンヤミン)
4 社会理論の水路(フランクフルト学派と家族研究;ハーバーマス以後の社会理論)
付篇 自己証言(ホルクハイマー生誕百年によせて;管理された世界への移行)