内容説明
人間はもともと人と人との「あいだ」に生き、「あいだ」を生きている。「あいだ」を生きることによって自己を形成する。本書は従来著者が追求してきた精神医学的・人間学的観点を一歩ふみだし、生理学・病理学的目で「あいだ」を「もの」として相対化する。新しい意欲作。
目次
生命の根拠への関わり
主体と転機
音楽のノエシス面とノエマ面
合奏の構造
間主体性とメタノエシス性
主体の二重性
共通感覚と構想力
「あいだ」の時間性
アレクシシミアと構想力
「あいだ」の生理学から対人関係論へ
我と汝の「あいだ」
もしもわたしがそこにいるならば
絶対的他者の未知性
こと・ことば・あいだ
「あいだ」の病理としての分裂病
ダブル・バインド再考
「みずから」と「おのずから」
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
amanon
1
現在では最早無効と言われているダブル・バインド理論に別の面から光を当てることによって、一定の評価を与えているのが特に興味を覚えた。もっとも本書の刊行が二十年以上前だから、今では事情はかなり変わっているのだろうけれど。それでも、全くの門外漢である僕が言うのも何だが、ダブル・バインド理論にはまだ某かの可能性は残っているような気がする。最近の著作でこの理論に言及しているものがあれば、ぜひチェックしてみたいと思う。また、精神医療について書かれた本を読むと、自分の精神形成期の危うさをつい思わざるをえない…2012/07/28