内容説明
古代の建築・舞踊・装飾に見られる迷宮の構造。ギリシャ神話のヘルメース神をめぐる生と死と再生。
目次
迷宮の研究―ある神話的観念の線反射としての迷宮(問題―秘密;バビロニア;死―生;セーラム、ポリネシア、オーストラリア;スカンジナヴィア、イングランド、ドイツ ほか)
魂の導者・ヘルメース―男性の生命起源の神話素(古典伝承のヘルメース;生と死のヘルメース)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
roughfractus02
8
著者が注目するトリックスターには蛇のイメージがつきまとう(ディオニュソス祭祀の神官、プロメテウスの火のうねり、アスクレピオスと医術の象徴)。コスモス的思考にカオスを持ち込むこの螺旋イメージを、著者は迷宮建築から蝸牛や貝殻を経て、宙に飛んで地を踏み鳴らしつつ螺旋を描く祭祀の舞踏を巡りつつ、さらに抽象レベルへ引き上げる。今回取り上げられるトリックスターはヘルメスである。この商業の神は、二点間の途上である道を棲家とする。その神話は生と死を結び、生の中に死を持ち込んで、カオスとコスモスの間に私たちはあると告げる。2021/09/01
コマイヌ
1
序文は……。ラビー=ハイヌヴェレの神話がとても良い。KKの分解と語りは心踊る、その他を全て脇に置きさえすれば。<ギリシャ人にとってヘルメースの姿をとって現れたものは何であったか>、<いかにしてまさにそれがギリシャ人にとって神として出現し得たか>、最高の問うべき問にしてほとんど祈るしかない問よ、ギリシャ神話を問う人の神々への讃歌が好きだ、この文もまたコイノス・ヘルメース!で締められているのだ。2016/12/29