内容説明
本書を通じて、この数年間、温めてきたテーマを展開したいと思った。近代の教育における「平等と自由」の問題である。それを、教育を機会と見なすアイデアの成立とその変化にまでさかのぼって解明する。「個人の形成」が、「個性の尊重」へとすり替わっていく「教育の世紀」の幕開け。舞台は、19世紀末から20世紀初頭のアメリカである。この人工国家のもとで繰り広げられた不断の教育の拡大と改革という「近代の物語」を読み解くことで、近代教育に埋め込まれた「思想の遺伝子(DNA)」を取り出してみたい。
目次
第1章 ウォードの時代―公立学校成立期のアメリカと知による平等主義(忘れられた社会学者;百年前の“ネオ・リベラリズム”の流行とウォード;マンの時代;青春のウォード)
第2章 教育という万能薬―教育機会と平等の歴史(知性平等主義;頑迷な誤謬;知性の発達から教育可能性へ;社会改革の「教育という万能薬」;知性平等主義のアメリカ的特徴)
第3章 ハイスクール物語―「教育と平等」の大転換(アメリカ的な学校・ハイスクール;シーマンの夢―「階級のない社会」、産業化とハイスクール;実際のハイスクールとエリート主義的画一教育 ほか)
著者等紹介
苅谷剛彦[カリヤタケヒコ]
1955年東京都生まれ。1979年東京大学教育学部卒業。1988年ノースウェスタン大学大学院修了(Ph.D社会学)。東京大学大学院教育学研究科教授。専攻は教育社会学、比較社会学。主著に『階層化日本と教育危機』(有信堂高文社:第1回大仏次郎論壇賞奨励賞受賞)など
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とも
ちなつ
hachiro86