出版社内容情報
スラムの住人は、何を食らい、どこで愛し合うのか。路上の物乞いは、どうやって、いくらぐらい稼いでいるのか。ストリートチルドレンや売春婦が求める笑いや愛情とは何か。マフィアが行う貧困ビジネスとはどういうものか。これまでメディアが目をそむけてきた「絶対貧困」に生きる人々の息吹きを伝える「世界リアル貧困学講義」。あなたの人間観、世界観が変わる一冊!
内容説明
スラム、物乞い、ストリートチルドレン、売春婦の生と性…1日1ドル以下で暮らす人々と寝起きを共にした気鋭のノンフィクション作家が語る。泣けて、笑えて、学べる、ビジュアル十四講。
目次
第1部 スラム編(スラムの成り立ち;人々の暮らしと性;表の職業・闇の職業 ほか)
第2部 路上生活編(路上生活者とは;恋愛から婚姻;出産から葬儀 ほか)
第3部 売春編(売春形態と地域;売春婦の実態;性の国際化)
著者等紹介
石井光太[イシイコウタ]
1977年、東京都生まれ、作家。海外の生活や文化に関する作品を数多く発表。また、活字以外でも、NHK等でのドキュメンタリ番組の制作を手掛けるほか、写真、漫画原作、ラジオなど幅広いジャンルで活躍する。講演や講座も各地で行っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みゃーこ
98
新潮文庫の100冊。常に多面的視点で物事を考える著者特有の貧困学講義。豊富な写真を使い「国際開発論という最大公約数的統計では語られない」現地で生きる生身の人間の個々の生活が抱える最小単位の貧困問題を研究したまさに生きたルポ。貧困学と名付けた著者の言うとおり貧困を身近な問題として考え行動するミクロ・マクロ双方向の視点で考え人々の利益を考える学問が開かれていかなければ他人事として見て見ぬふりしていると大変なことになると思った。2013/07/27
新地学@児童書病発動中
92
1日に1ドル以下で暮らす人々の生活をリポートした本。両親が殺され、シンナー中毒に陥り骨と皮だけになって路上に横たわっていたバート君のエピソードが一番印象に残る。救いようのない話ばかりなのだが、著者の語り口は淡々として明るさえ感じる。その明るさは著者が取材で出会った人々からもらった贈りもののような気がした。前向きとかプラス思考とかそんな生易しい言葉を突き抜けた崖っぷちの明るさで、それは先進国で物質文明の豊かさを享受している者の心を激しく揺さぶる。2013/11/11
あやの
53
中高生に向けて講義形式で書かれているのでとても解りやすい。が、内容は世界の「絶対貧困」の現実をしっかり書いているので青少年にはちょっとキツいか。私としては特に「レンタルチャイルド」に衝撃を受けた。こういう世界ではやはり子供と女性が一番の被害者かと思う。貧困の陰に闇組織がはびこり、ビジネス化していくと女性や子供の「商品化」が進む構図も初めて理解できたかも。世界中のスラム街を取材するだけでなく生活してみた石井さんの体験談がベースになっているためか、他の解説書などとはリアリティーがひと味違う。2020/08/14
nonpono
47
初めてインドを旅したときに初めて覚えたインドの言葉は、「バクシーシ」だった。物乞い達の勢いの凄まじさとまっすぐな眼差しに怯んだ。本書は世界のスラムや物乞いや売春婦のルポタージュ。上から目線ではなく、実際にスラムで生活をしたりスラムの人々と飲んだり食べたり恋をしたりの生活感溢れ出るルポタージュである。むごすぎる話もあるが、著者の撮影した写真の一枚一枚が現実を物語る。レンタルチャイルドと老婆、物乞いと雇い主の共依存、AIDSに対する無頓着さ、娼婦の堕胎費用の高額さ、ある意味、物語を凌駕する現実がここにあった。2024/06/25
リョウ万代ホーム施主|貯金おじさん
44
社会福祉の整っている国といない国で、ここまで違うのかと驚愕。ゲリラ組織の少年兵の話が堪えるものが有ります。誰だって人から認められたいし褒められたいですよね。2016/05/06
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- 和書
- 「お寺さん」出番ですよ