内容説明
グーグル検索を使ったり、フェイスブックで「いいね!」を押したり、アマゾンで買い物をしたりするたびに、その裏では、特定のアルゴリズム(問題を解決するための計算方法・手順)が、私たちの行動と嗜好を常に分析している。アルゴリズムの導き出す答えはどれほど正確で、公正で、効果的なのか。数学者である著者みずから、さまざまな簡易的実験や関係者への取材から、アルゴリズムやAIの現在の到達点、将来の可能性と限界を評価。AI脅威論の真実に迫り、人々の疑問と疑念を解いていく。とりわけ、フェイスブック・データを不正に利用して英国のEU離脱投票やトランプの大統領選の勝利に携わったとされる選挙コンサル「ケンブリッジ・アナリティカ」の効果を一刀両断にした文章(本書収録)は海外でも話題となった。
目次
1 あなたを分析するアルゴリズム(バンクシーを探せ―AIは「将来の」犯罪者を逮捕するか;リターゲティング広告にノイズを―「いいね!」があなたを丸裸にする;友情の主成分―あなたの性格はこうやって分析される;100次元のあなた―感情がモデル化され、行動が予測される;ケンブリッジ・アナリティカの虚言―神経質な人には「恐怖」を、低IQの人には「陰謀論」を;アルゴリズムに潜むバイアス―数学だけでは不公平は正せない;データの錬金術師―予測の精度は人間とほぼ同じ)
2 あなたを操るアルゴリズム(ネイト・シルバーと一般人との対決―選挙予測の精度と、投票への影響;「おすすめ」の連鎖が生み出すもの―ベストセラーとアフィリエイト・サイト;人気コンテスト―グーグル・スカラー依存症になった学者たち;フィルターバブルに包まれて―あなたが何を目にするかは決められている。だが…;つながりはフィルターバブルを破る―人は意外と多様な意見に接している;フェイクニュースを読むのは誰か?―政治については影響力は限定的)
3 あなたに近づくアルゴリズム(アルゴリズムは性差別主義者か?―人間社会を映す鏡;AI版のトルストイ―ニューラル・ネットワークは名作を生み出せるか;スペースインベーダーをやっつけろ―アルゴリズムはゲームを学習する;大腸菌ほどの知性―AI脅威論への反論;現実に帰るとき―アルゴリズムは私たちの文化遺産である)
著者等紹介
サンプター,デイヴィッド[サンプター,デイヴィッド] [Sumpter,David]
ロンドン生まれ、スコットランド育ちの数学者。マンチェスター大学で数学の博士号を取得。オックスフォード大学とケンブリッジ大学で研究職に就いた後、スウェーデンに移り、現在ウプサラ大学の応用数学の教授。世界各地で、伝書鳩の飛び方、拍手の伝染、アリや魚の群れの動きなどの生物学的・社会学的現象を数学的に分析する研究に携わる。サッカー界のさまざまな事柄を最新の数学で分析した前著『サッカーマティクス』は、「サッカー本大賞2018優秀作品」に選ばれた
千葉敏生[チバトシオ]
翻訳家。早稲田大学理工学部数理科学科卒。訳書多数
橋本篤史[ハシモトアツシ]
翻訳家。法政大学法学部卒。メーカーのIT部門、法律事務所での勤務を経て、翻訳業に従事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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