内容説明
みどりさん、32歳。病名はスキルス胃がん。ステージ4。双子の娘はまだ4歳。がんと診断され、最期を迎えるまでに、母親と家族は、何をどう選択したのか。何に悩み、どう生きたのか。そして、母親が娘たちに残した2冊のノートには、何が書かれていたのか。緻密な取材で明らかになる、患者、家族、医療者の物語。
目次
第1章 異変
第2章 転院
第3章 小春
第4章 哀哭
第5章 惜陰
第6章 約束
著者等紹介
田村建二[タムラケンジ]
朝日新聞記者。1967年、神奈川県川崎市生まれ。1993年、朝日新聞社入社。福井支局、京都支局(いずれも現総局)を経て、東京科学部に所属。その後、名古屋社会部、大阪および東京の科学医療部、医療サイト「アピタル」編集長などを経て、2022年4月から東京くらし報道部に在籍。編集局編集委員。生殖医療、いわゆる生活習慣病、がん、遺伝子診療などの分野を担当し、新型コロナウイルス感染症の取材にも関わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シャコタンブルー
62
32歳で天国へ、しかも4歳の双子を残して・・これは絶対泣くだろうなと思いながら読んだ。でも、いい意味でそうならなかった。それはスキルス胃がんになったみどりさん、夫、父母、叔父叔母、そして双子の視点から各々の思考と行動が冷静に描かれているからだ。煽情的に陥らずに、医療やケア等その奥にある悲しみや苦しみを丁寧に掬い取っている。双子の前では苦しくても、いつも笑顔をみせる。限りある時間の中で我が子に残せる思いが、その笑顔に繋がっている。2冊のノートに込められた思いは永遠だ。本書も双子にとっては宝物になって欲しい。2023/02/10
なかちゃん
5
泣きました。涙が止まりませんでした。32歳という若さで、小さな子供たちを残して、しかも3ヶ月で、、。でも素敵なご家族、医療関係者の方が側にいてくれたなと思いました。2022/12/31
ビーグル犬大吉
1
スキルス胃がんの怖さがよくわかる内容だった。ただ、みどりさんの場合、夫こうめいさん、両親、親戚、優秀な医療スタッフに支えられ最後まで闘病を続けられた。短い人生でも幸せな一生だったと思える。また、双子のもっちゃん、こっちゃんは四歳で母親の病状をしっかり把握していた。幼少だったとしても、今後も二人で支え合って生きていくことができるし、双子だったことが不幸中の幸いだったと感じる。叔父のたかしさんが失言だったと後悔していたが、私は「喜びは二人でいると二倍になり、悲しみは半分になる」という諺をなぜか思い出した。2023/02/12