内容説明
戦争で家族を失ったおとらおばさんは、故郷の小豆島へ帰ってきた。母親を失った一郎少年も焼けだされて島へ帰ってきた。戦争の痛手をうけた人びとの美しい人間愛を郷土色豊かにうたいあげた『二十四の瞳』の作家、壷井栄の長編小説。第二回文部大臣賞受賞。光文社創業60周年記念出版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
もぐちゃん
5
戦争で家族や家をなくした人たちが助けあい、思いやりを持ってみんなで立ち直ろうという姿が美しいです。心が洗われる作品です。小豆島の美しい自然と子供たちのやりとりがほっこりしますよ(^-^)オススメです❤2015/07/30
スローリーダー
2
戦後間もない小豆島を舞台に、島の大人たちと子供たちの素朴な生活を温かな目線で描いた児童文学の名作。戦火で夫と子を失ったおとら小母さんとかぎやの史郎など島の子供たちとの交流、子供たち同士の交流が生き生きと語られる。子供たちの多くは親を戦争や病気で亡くしていて悲しい影を引きずりながらも皆健気に家の手伝いをしたり遊んだりする。彼等を見守る大人の目がとても優しく、子供の心を明るくするユーモアにも長けている。とりわけおとら小母さんと史郎との会話は素晴らしい。翌年上梓された『二十四の瞳』と双璧を成す感動作だと思う。2025/08/13
けむりの猿c((•ω•))ɔ
0
読んだのは金の星社刊。タイトルだけは知っていた本。もっと暗く悲しい物語だと思っていた。声を出して笑う事が幾度も。誰も彼もが苦しみ悲しんだ時代だからか、誰も彼もが人に優しい。おとら小母さんの無償の優しさ、史郎のおじいさんの慈しみ深い優しさ。こんな人たちが戦後の日本を支えてくれてたんだね。物語ではあるが、その時代の本当の温もりが伝わる素晴らしい作品でした。1つ疑問が残った箇所。ロシア(シベリア?)で捕虜になってた兵隊さんに世間の印象が良くなかったのは何故だろう。2021/03/27
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