内容説明
本書は、帝国海軍の権威主義の実態、独立統帥権を手中に収めた経緯、それが大東亜戦争に及ぼした悪影響、そして作戦研究の驚くべき過ちと怠慢、それらの大東亜戦争惨敗の根本的原因を、日清・日露の2つの戦争にまでさかのぼって解明し、検証しようとするものである。
目次
第1章 統帥権と日清戦争
第2章 日露戦争の起因
第3章 日露戦争での戦い
第4章 日本海海戦
第5章 日本海海戦から大東亜戦争へ
第6章 太平洋戦争開戦まで
第7章 初期進攻作戦
著者等紹介
佐藤晃[サトウアキラ]
1927年福岡県生まれ。陸軍士官学校61期生。大分経済専門学校卒。三井鉱山(株)、三井石油化学工業(株)に勤務し、1987年退職。以後、戦史研究に基づく執筆活動に入る。一貫して「陸軍悪玉、海軍善玉」史観を批判、日本の敗戦の真相を追究している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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№9
13
一般常識的に日本人には、諸悪の根源が陸軍であり、海軍に悪いイメージは薄い。大抵の歴史本にも陸軍を糾弾する言葉はあっても、海軍のそれを指摘するものに出会ったことがなかった。ただ、以前読んだ何か本に、山本五十六の愛人に宛てた手紙の内容があり、その女々しさに唖然とさせられたことがあった。本書にあるのはそんな瑣末なことではなく、アメリカの巨大な生産力や経済力だけで負けたのではなく、海軍の稚拙な戦略と矮小な戦術思想こそが、日本の取るべき道を誤らせたと説く。その勇壮な海戦と艦隊群の日本海軍のイメージ、見方が変わる本。2020/05/03
tsuyoshi1_48
3
近時増えてきた海軍批判本の嚆矢とも言うべき本。上巻は維新直後の海軍創設から真珠湾攻撃まで。日本海海戦の大勝以来、艦隊決戦思想に凝り固まった帝国海軍は自己増殖本能の赴くままに、建艦競争に明け暮れ国費を蝕む。やがて分断された統帥権を恣に、海軍は徒に戦域を南方へ拡大し、日本を破滅へと導いていく。固陋な陸軍のイメージと対比して、進取的なイメージで語られることが多かった帝国海軍だけに、そのイメージを強くお持ちの方は、対照的な描かれ方に驚かれるのではないでしょうか。2010/11/24
allSS0413
0
日本陸軍は戦犯も多く、戦争犯罪などのイメージもあって悪者扱いされがちだが、海軍は単に無能揃いだったというのが何とも・・・。日本海海戦と真珠湾攻撃しか成功のイメージが無いにも関わらずここまで海軍が悪者扱いされないのは戦後のプロパガンダ的なところもあったのかと思うと面白い。そして戦後70年の現代も国の指導者と言われる人があまり変わってない感じがするのが怖ろしい。2020/01/14
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