内容説明
なぜ日本の政治家politiciansは口をそろえて「アメリカに逆らったら、田中角栄みたいに潰される」と言うのだろうか?なぜ「CIAにスキャンダルを握られたらおしまい」と言うのだろうか?1974年、金脈追及で退陣した角栄は、その2年後、米上院Senateの小委員会で発覚したロッキード事件Lockheed Scandalで葬り去られた。この戦後日本最大のスキャンダル以降、「角栄はアメリカの逆鱗に触れた」という“アメリカ陰謀説”が流布widespreadすることとなった。最初にこの説を唱えた田原総一朗から、石原慎太郎や中曽根康弘などの政治家に至るまで、今でもこの説を信じきっている。これが、現在の日本の対米追従の原因となっているのだ。しかし、これは真実the truthなのだろうか?膨大な米外交機密文書と徹底した現地取材を基に、今、その真実に迫る。
目次
1 キャッシンジャーとの秘密会談
2 角栄・最後の栄華
3 転落の始まり
4 さまざまな陰謀説
5 陰謀説はこうして生まれた
6 策略という名の外交
7 第2のロッキード事件
著者等紹介
徳本栄一郎[トクモトエイイチロウ]
1963年佐賀県生まれ。ロイター通信ロンドン本社、東京支局で、政治・経済を担当後、ジャーナリストとして独立。住友商事巨額損失事件やオサマ・ビンラディンの実兄インタビューなど、多くのスクープを重ねている
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
coolflat
5
ロッキード事件における「角栄は米国の虎の尾を踏んだ」の田原論文を初めとする数々の陰謀説を、米国や英国の公文書、当時の関係者の証言などをあたり、それぞれ検証している。結論を言うと、どれもこれも第三者からの噂や伝聞、具体的裏づけのない情報ばかりで、文字どおりの陰謀説だった。ロッキード事件に陰謀はなかったという結論である。確かに独自の資源外交など、米国の思惑と違う行動をする角栄に、米政府は苛立った節もあるにはある。しかし米公文書には角栄を危険視する記述は登場しない。むしろ米政府は角栄個人を評価していたのである。2014/10/20
pudonsha
2
角栄失脚はアメリカが仕掛けたとする田原論文への反証がメイン。かなり陰謀論くさい印象はあるが、公開されていない三木・フォード会談の議事録がどういう内容になっているかは気になる。2016/07/06
α0350α
0
面白かったです。興味深く読めました2008/10/14