内容説明
日本を代表する巨大企業NTTが「10万人リストラ計画」を実行中だ。50歳定年、賃金15~30%ダウンで再雇用という過酷なものである。これで社員の半分がリストラpersonal downsizingされる。いったい、なぜNTTはここまで追いつめられたのだろうか?現在、通信業界は際限のない値下げ競争に追い込まれている。それはIP(Internet Protocol)と呼ばれるインターネット技術のせいだ。すべてがインターネットに統合されていけば、電話は無料になり、さらに携帯電話さえも無料に近づいていく。つまり、通信業界は、過当競争のせいで誰も儲からないシステムになってしまった。こんな状況では、設備の保守も思うようにいかず、結局のところ、サービスも品質も低下していく。困るのは、実際に電話を使っているわれわれ一般ユーザーではなかろうか。さらに悪いことに、NTTが沈没すれば、機器メーカーや半導体産業など、関連業界も大幅に衰退していく。それはNTTだけにとどまらない日本企業全体の衰退につながっていく。これでは日本の景気回復などあるはずもない。悪いのは誰なのか?本書は、この日本の惨状をもたらした「IT立国」構想の裏側を描き、アメリカの通信覇権に踊らされた人々を告発する。
目次
1 NTT内部で何が起こったのか?
2 踊るバカに踊らされるバカ
3 インターネットが滅ぼす日本の未来
4 NTTと日本共同体の危機
5 そしてNTTが消滅する日
6 「構造改革」をあおるアメリカの論理
7 “技術立国ニッポン”第3の敗戦
著者等紹介
藤井耕一郎[フジイコウイチロウ]
1952年、北海道生まれ。編集者、予備校の理系論文の講師を経て、現在、フリーのジャーナリスト。テレビやインターネットや携帯電話といった技術は、われわれの生活にどのような影響を与えるのかを、常に独自の視点で検証・分析している
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