内容説明
映画製作は綺麗事では出来ない。莫大なカネがかかる。口を出したがるヤツも多い。スケジュールはしじゅう変更になるし、実力のある俳優にはクセがある。さらに、何者かの妨害も入れば、事件も起こる。監督は、気難し屋の完璧主義者で、しかも、半死半生の老いぼれだ。それでも、今、撮り上がりつつある作品が、物凄い傑作になることは、誰も、まったく疑っていなかった。頑固一徹な天才監督と軽薄で無能なプロデューサー。軽薄な二枚目スターとスキャンダルまみれのアイドル。デビュー作にして大ヒット作『さよならドビュッシー』の映画化を控える著者が、しがらみをモノともせずに、本気で映画業界のリアルに迫る、熱血モノ作りエンタテインメント。
著者等紹介
中山七里[ナカヤマシチリ]
1961年、岐阜県生まれ。花園大学文学部国文学科卒。2009年、『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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冴子
218
中山さんらしからぬ映画作りの話?と思ったら、ちゃんと事件は起こる。しかも最後まで私には犯人は解らずじまい。ただ、今回は事件の解決より映画作りのあれこれが描きたかったのかな。最近はテレビ局主導の映画が増えて、ドラマの監督が映画監督もするケースが結構あるけど、現場ではこんなふうなバトルが実際にあるのかなぁ。ヘタレの宝生弁護士ゲスト出演。五社、大森、宮藤など、実際の監督の名前をつけるあたり、映画好きをアピールしてる? 「カエル男」未読なのが残念。2017/02/12
ダイ@2019.11.2~一時休止
182
映画現場での事件。障害犯の犯行に無理を感じるが面白く、作中劇を見てみたい。2014/06/29
文庫フリーク@灯れ松明の火
181
見開きのエピローグ最終2ページ。モリミー化して叫ぶ!「ハッピーエンドだ!誰もが赤面することうけあいだ!」よくぞ、あのグロい『カエル男』を映画製作の形でスピンオフとしたものです。ミステリーとして『カエル男』のようなどんでん返しは無いものの、原作の映画化が無理なだけに楽しい企画でした。「エンタメをナメるな。哲学だろうが政治だろうがエンタメは何だって取り込める。難しい論文も大事だが、エンタメはそれを分かり易い形にできる。モラルに反するだって?一晩でコロコロ変わるようなモラルがどれほどのもんだと言うんだ」→続2013/05/27
mariya926
144
映画を撮る中で起こるミステリーでありつつ、その映画が中山七里さんの作品である「連続殺人鬼カエル男」なのが面白いのです。最後までハラハラさせられました。まさに中山七里世界を一つの本で二度味わえる感じです。ちなみに読みながらどの本だっけ?っと一生懸命考えていましたが思い出せませんでした。あとがきで分かってスッキリしました。ちなみに私は犯人を妹だと思っていました(笑)七里さんだったら裏の裏をかいて妹にするかな?と予測していましたが外れました。今まで読んだことがないストーリーなのが面白かったです。2020/04/28
そのぼん
137
映画の撮影の現場で起こる事件を描いた作品でした。とても映画の撮影の描写がリアルに描かれていて驚きました。ミステリーとしても楽しめたけど、映画作りの裏事情みたいなものも詳細に見てとれて、その辺も興味深く読めました。2013/03/26