内容説明
温泉。それは地上最強のパワースポット。心も体もあったまる。わたしは、自分が凍えていたことに、気づく。息が詰まるような日常にも、きっと風穴があく。極上のガール・ミーツ・ボーイ・ストーリー。
著者等紹介
木地雅映子[キジカエコ]
1971年、石川県生まれ。日本大学芸術学部演劇学科卒。’93年、「氷の海のガレオン」が第36回群像新人文学賞優秀作に選ばれる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あつひめ
90
猫の日に偶然猫柄の表紙の本かぁ…と思いながら読んでいたら…なになに…これ。私も、こんな温泉に行ってみたーい…。人は、行き着くところを知らず知らずに察知しているのかもなぁ。自分がそこにいて楽になれる…。それは怠けとかの楽ではなく心地よいと言うことでの楽な場所。それには、いろんな苦難もあるかもしれないけど、やっぱり居心地がいいんだよね。木地さんの作品は、初めて読んだけど、心に寄り道をさせてくれる、読み心地のいい作品を書く人ですね。他の作品も読みたくなりました。猫の日に出会えたのは何かのご縁だと思います。2015/02/22
ひめありす@灯れ松明の火
60
柚子が銭湯に行く時の「この瞬間の為だけに、他の全ての時間を生きている」そういう余生の様な感覚は、きっと私の中で本を読んだり何かを書いたりする時の感覚と似ているのだろうと思う。塩梅のいい本(決して面白いとか、人気があるとかではない)を読んでいる時の、体がピタッとおさまる感覚。おしりの下を、あたたかい水がとぷとぷとゆとゆと流れていく、あの感覚。他の所が生きにくい訳じゃないけれど何だろう。還ってくるという感覚かな。木地さんの描く、足りない訳じゃないんだけれどどこかにしか伸びてない地に足のつかない女の子が好きです2012/08/23
ねむねむあくび♪
59
また図書館で目があって♪(*´∀`)♪柚子ちゃんの過酷な家庭に、やっぱり仰天しながら読了。毒母って言葉が浮かぶよな…(^-^;。サウナでトリップしちゃったり不思議要素もあるけれど、それさえもファンタジックな魅力に思えた♪温泉のお湯の中に、柚子ちゃんの無邪気さとエロティックが溶け合って、良い塩梅♪かぽーんと湯気に巻かれました(*´艸`*)2014/10/06
ねむねむあくび♪
49
お初の作家さん♪猫の表紙が気に入って借りた図書館の本(^^)ホントに不思議な読み心地でした♪女子高生の柚子ちゃんの、ヘビィな家庭環境と、本人のほんわかとのギャップにびっくり。幸せになるんだよ~(・ω・)ノ2013/12/03
りんご
45
シンデレラストーリーってのはまずシンデレラの不遇があるわけですね。この本の主人公、温泉好きの女子。のほほん、ふわりんと書かれてるんだけど、だんだんと明らかになる不遇。現代っぽい不遇なんだなあ。ああそれで、なんか他人事みたいな書き方してるんだあ、とググッと悲しくなる。つらいよう。温泉があったから生きていける。他人にはわからなくていい、生きるよすが。あの場所、あの音楽、あの人、あの言葉、なんでもいいから子供には生き延びてほしいよ。最後はお見事なハッピーエンド。気持ちいい本でした。2024/10/05