内容説明
本所五間堀の「鳳来堂」。若主の長五郎が調えた美味い酒と肴、そして親譲りの心意気に惹かれてまた一人、今宵も暖簾をくぐる―。時代小説の第一人者が描く江戸の情けと心ばえ。
著者等紹介
宇江佐真理[ウエザマリ]
1949年函館市生まれ。函館大谷女子短期大学(現・函館大谷短期大学)卒業。’95年「幻の声」でオール讀物新人賞を受賞。2000年『深川恋物語』で吉川英治文学新人賞、’01年『余寒の雪』で中山義秀文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
のり
141
「鳳来堂」を父の亡き後に古道具屋から、夕刻から朝方までの居酒見世に鞍替えし奮闘する長五郎。火の取締りが厳しい時代にさほどの圧力がかからなかったのが疑問ではあるが。長五郎の人柄もあって、お客に恵まれ商売も安定してくる中、過去に情を交わした芸者の「みさ吉」と子供の「惣助」が…もどかしい展開が続くその先には…本作の前に「ひょうたん」があったとは。それでも逆にスピンオフ的に読めそうな気も。みさ吉の鰯の三杯酢がとても美味しそうだった。(^o^)2017/07/14
文庫フリーク@灯れ松明の火
138
ああ、これはできれば大晦日に読みたかった。『ひょうたん』続編と聞き、古道具屋「蓬莱堂」の店先でざっかけない、けれど実に美味しそうな庶民の料理を煮炊きする、お鈴が主人公の物語と思っていました。音松とお鈴の息子・質屋で修行していた長五郎が、畑違いの古道具屋を諦め、亡き父の幼馴染の後押しで開いた居酒見世・蓬莱堂。母お鈴は料理の技を息子に伝えた後、音松の待つ彼岸へ。悲喜こもごも賑やかな『ひょうたん』に比べ、覇気の無い長五郎。それでも朝方まで酒と飯を供する蓬莱堂に訪れる客との人情譚には惹かれる。ことに出番は少ない→2015/01/07
やも
86
古道具屋を営んでいた親父を亡くし、母と2人になった長五郎は、古道具屋を畳んで夜なきめし屋を始めることにした。人は弱く惑う生き物。弱いなりに、普通を続ける苦労をする。今日という日の続きに何が待っているのか。常に満点の人生なんてあるんだろうか…。宇江佐さん、やっぱすごくいいです。読め終えてみたらツンデレ女と煮え切らない男のラブコメってカンジだけど、人生って七転び八起きだよなってもしみじみ思える1冊だった。説明するのは野暮。そんな描写が宇江佐さんは抜群にうまいと思う。2023/02/21
さなごん
43
ご飯が美味しそう。二人が結ばれてよかった。2015/12/22
ドナルド@灯れ松明の火
41
さすがの宇江佐真理。安心して読み続けられる。鳳来堂は夜の居酒屋兼めし屋。長五郎は昔みさ吉を好きだったが一緒になれなかった。みさ吉が後妻に行った先の主人が亡くなって息子共々おいだされる。実はその息子惣介は長五郎の子供だった。惣介がかすがいとなるのだがみさ吉と長五郎はかたくななまま。二人のやりとりにじれる。周りの人々もいわくがあるが長五郎を中心に彩りを添える。駒奴とおしのが良かった。2012/07/02