内容説明
自称「家族思い」の中年男が飲み倒して早朝帰宅すると、食卓には妻のショッキングな置き手紙が―(表題作)、赤いフェラーリを乗り回す自称「人気者」の住職が友人の子供を預かった。しかしその子はまったく笑わない。何故?(笑わないロボット)、こんな奴らがたんまり住む町には「退屈」という言葉はない。
著者等紹介
中場利一[ナカバリイチ]
1959年、大阪府岸和田市生まれ。94年『岸和田少年愚連隊』でデビュー。絶妙な語り口と破天荒な登場人物を人間味溢れる視点で描き、注目を集める(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Shinji
90
いやいや、「アイラブミー」って... いわゆるクズばっかじゃん!? とは言っても、それぞれ抱えるものや守るもの、守りたいものがあるので、もがきながら生きている。出てくる男がほぼ全員悪い事、くだらない事ばっかしてるけど、不思議と話の終わりには憎めなくなってんだよな♪ ありえない破天荒なお話の中、「スリーバント、転がる」「オレを持ち上げる大きな手」はホロリとさせられました。 しかしタイトルのとおりの置き手紙があったら、絶対に挙動不審になるよな.. 思い当たるフシがいっぱい過ぎて朝まで地獄だわ!2016/08/13
ケイ
72
可愛い表紙からは想像もつかない大阪の少し外れ…泉州かな、そこの愚かな男たち9人の話。各話が各々の語り。すごい方言、大阪弁か泉州弁かよくわからないが、普通の人はそんな話し方はしない。育ちがわかるってもんです。なのに、揃いも揃ってそんな自分が好き。無茶苦茶し放題、かなりの法律違反も平気なのに、奥さんにだけは頭があがらない男たち。寝る前に奥さんの書いたメモを見て、明日のあさにあるお話とはなんだ、話に“お”が付いてる理由について思い悩むのだ。男ってバカで最高だ…、みたいなジョージアのCMを思い出しちゃった。2014/05/27
chimako
67
ようもまぁこんなしょうもない男たちが集まったもんや。自分では治療しない整形外科医、ケンカ屋との取次してるバイク屋、フェラーリに乗る住職、学校も行かんとフラフラする中華料理屋の息子、被害妄想のお父さん、そっち(ヤクザ)関係者専門ディーラー、女にうつつを抜かし妻を追いだした豆腐屋、ヤクザの娘を嫁にした病院事務長、彼女を妊娠させた高校生。九つの短編の主人公はみんな自分が大好き。何よりも自分。I love me! それでも気づく。自分より大切なものが有ること。愛すべきは誰なのか、誰に愛されているのか。泣かされた。2014/04/25
まーちゃん
66
ゴンタでアホで不器用で。後先考えんとその場しのぎを繰り返して。とても一緒には暮らせんな、彼氏でもいややな…でも「オトコのコ」のエッセンスを持ったまま柄だけでかくなった男たちは、時に鼻の奥がツンとなるくらい健気でかいらしい(可愛らしい)。ここに出てくる女たちは皆、年齢に関わりなく自覚もないままにデキの悪いバカ息子の「オカアチャン」なのだろう。リーゼントでフェラーリに乗る住職、突然倒れた北京飯店の主とその家族、無口な元バズーカ井上等の親父像がいい。それにしてもこのタイトルの破壊力は並じゃないね(笑)2014/05/09
hirune
53
ゾンビーズを大人にして、ダメっぷりといい加減さを十割り増しにしたような人達の自分語りの短編集。皆自分が大好きでロクなことしない呆れた人達なんだけど、誰でもほんの少しくらいは良いところもあるんじゃない?と思わせるお話しでした。でも、最後のバズーカ井上さんだけは立派でかっこよかったわ〜☆彡息子は最低だけどねー^^;2015/03/18