内容説明
軽度のうつ病で研修を一時中断し、コンビニでバイトをしている医者の卵・啓介。その店にやってきた制服姿の女子高生が突然倒れた。下腹部にきつく巻かれたさらしをゆるめると、おなかがみるみるせり上がってきて―。いつでも、どこでも、女性だけに起こりうる最大の苦難。未だ見ぬ者への無償の愛を描く著者の最高傑作。
著者等紹介
佐川光晴[サガワミツハル]
1965年、東京生まれ。北海道大学法学部卒業。2000年、「生活の設計」で第三二回新潮新人賞受賞。02年『縮んだ愛』で第二四回野間文芸新人賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あー
17
重いテーマだった。つらかった。ハッピーエンドを願って読み進めていたのだけど、、、2022/05/09
八百
16
「ある研修医の日記」的なルポルタージュじゃなくて小説なのだからこの結末はどうかと思うな。内容としては男性が描くのはやはり無理があると思われる妊娠、出産を取り上げてはいるもののその丁寧な扱いは好感が持てその奥に国際養子縁組という闇と紙一重の問題を内包しているとなれば否定はしない。でもやはり「後編は?」と思わせるラストは消化不良。少子高齢化を問題視するのとは裏腹に望まれずに産まれて来た赤子にとことん冷たい我が国の制度に読者が共有の意識を持つことでまりあと幸太の未来が開ける!との扇動するのならば納得もするのだが2014/08/13
ゆきらぱ
8
「まりあ」の行動が突飛なようにも、地に足がついているようにも振れていてこの年代の揺らぎをあらわしていると思った。何気ない描写が心に残る作品で、例えば子供を「試さない」祖母、というのを読んで「試さない」とは育児の上で大事な事だと思った。2017/05/02
しろはは
6
せっかく生を受けたのにその存在が、両親や周りの人に望まれたものではなかった赤ちゃんたち。その命を大切に思ってなんとかしようとする人々がいる反面、ひどい形で利用しようとする人々もいて・・・・本当に重いテーマの本でした。結論が出ない結末だったので、少しもやもやしました。2013/07/04
しょー
4
【図書館】軽い気持ちで読み始めたけど、なかなかの心にズシンとくるお話。啓介の成長とまりあたちのその後。気になる!この結末と同じように現実問題としてまだ解決の見えない問題ということなのかもしれない。2012/10/23
-
- 和書
- 老残の群像