内容説明
編集者の田中聡とライターのさとうゆうは幼なじみで、いまは東京に住んでいる。聡がファンだった小説家・小川満里花と仕事をきっかけに交流が生まれ、三人と満里花の飼い犬・イエケとの、ささやかな幸せに満ちた日々が続く。そんななか、イエケがゆうを咬んで大怪我をさせた。後日、満里花はイエケを殺した、とふたりに告げる―。一年ほど後、東京でSARSが大流行、都内は混沌とする。SARS禍の陰には一頭の犬の存在が見え隠れして…。背徳、官能、危機、恋―すべてを内に秘めて物語は進む。作家・打海文三が遺した傑作。
著者等紹介
打海文三[ウチウミブンゾウ]
1948年生まれ。早稲田大学政経学部卒。93年、『灰姫鏡の国のスパイ』が第一三回横溝正史賞優秀作に。翌年発表された『時には懺悔を』が各方面で絶賛される。2003年、『ハルビン・カフェ』で第五回大藪春彦賞を受賞。04年、戦争文学の傑作『裸者と裸者』を刊行、大きな話題となる(第二部『愚者と愚者』までが刊行されている)。2007年10月9日、逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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おしゃべりメガネ
127
ここ最近、ガッチリ&どっぷりとハマっている打海さん作品ですが、スゴいです。我ながら拙い表現で、この作者さんの魅力を伝えるのは一筋縄ではいかないようです。正直、どうしてかはわかりません。前に読んだ2作品もそれぞれに一言では言い表せない魅力がふんだんに詰め込まれていました。しいてなんとかして言うならば、ジャンルが固定されていないことが魅力なのかもしれません。ミステリーかなと思っていたら、かなり社会派だったり、サイコスリラーかなと思っていたら、結構恋愛モードだったりとかなり多才な変化球で、読書を攻めてきます。2016/12/15
ophiuchi
6
ブログに残されていた打海文三の最後の完成小説。定型からはみ出した恋愛小説で引きこまれたけど犬好きにはキツイ内容だった。応化戦記を最後まで読みたかったなあ・・・2012/05/21
あさ
2
不思議な小説。ゆうも満里花さんも聡も、みんなそれぞれ魅力的。前半は満里花さんの小説を読んでみたいなぁなんて呑気なことを考えていたけれど、後半はそれどころじゃなく一気に読んでしまった。イエケの存在が怖くて悲しい。2012/01/31
nao
2
主人公の女の子は魅力的。でもミステリーを期待してたらがっかり。これが許されるなら何だって出来てしまう。2009/09/13
mamimami
1
登場人物が3人+犬。まさかの終わり方。この作家さん初読なのだが、最初にこの本を読んでしまったのは失敗かも。もう1冊読んでみて、相性(?)判断しようっと!2016/03/31
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