内容説明
刑務所に一般市民を招くオープンデイ。盛況に沸く中、元受刑者の首吊り死体が発見され、会場は瞬く間に騒然となった。路頭に迷っての自殺を有力視する刑務官たち。しかし、現場に居合わせた警視庁の花房らは疑問を抱く。死んだのは弱者を食い物にしてきた男なのだ。自ら命を絶つとは考えにくい。捜査陣の介入に刑務官たちは頑なな拒絶を貫こうとする。彼らは何を守ろうとしているのか―?花房の目は事件の綻びを見逃さない。正統派倒叙ミステリーの精華!
著者等紹介
香納諒一[カノウリョウイチ]
1963年神奈川県生まれ。’91年、「ハミングで二番まで」で第13回小説推理新人賞を受賞しデビュー。’99年、『幻の女』で第52回日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
196
香納 諒一は、新作中心に読んでいる作家です。「刑事花房京子」シリーズ3作目です。中篇の割に、読み応えのある骨太の社会派倒叙ミステリでした。 https://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/97843349153912023/09/03
タイ子
80
シリーズ第3弾。今作は刑務所内で起こった首つり自殺、いや自殺に見せかけた殺人事件。犯人の行為を初めから明かすコロンボ形式、いわゆる倒叙ミステリ。刑務所で行われた市民を招くオープンデイに刑事の京子と綿貫も参加。その日、刑務所長がある男を殺す。そして自殺体に見せかけて完全犯罪を目論む。それと同時に刑務官によるドラッグの不正持ち込み。刑務所外の捜査を拒絶する刑務官たちをよそ眼に京子は事件の核心に近づいていく。犯罪を一番憎むべき人間が犯した聖域での犯罪。刑事・花房京子のまっすぐな警官の矜持を今回も楽しめた。2024/05/31
タックン
79
花房京子シリーズ第3弾。北関東の刑務所でもオープンデーの日に元受刑者が自殺にみせかけて殺された。はじめから犯人はわかってて刑事コロンボばりの叙述ミステリーで花房刑事が事件を解明していく。 演歌歌手の野外コンサートでの音響のトラブルがなかったら完全犯罪だったかなあ・・・・。 犯人と事件の真相がわかり題名の意味と犯人の告白を聞いて、なかなか奥深いなって思いました。 表紙の絵とか語られる京子ちゃんのイメージがテレビ東京の田中瞳アナってあったけど、清楚で美人だわあ。 2023/09/21
えみ
61
少しでも疑問があれば納得するまで嗅ぎ回り、怪しい人物を見つけたら喰いついて離さない。まるで猟犬。優秀な刑事・花房京子が絶対聖域の刑務所で異例の捜査を始める。刑事VS刑務官。とても疲れる凄い事件だった。何と言っても被害者に同情できない。自殺と処理されかけている元受刑者の男の死に違和感をもった花房は刑務官たちに疎まれながら、グイグイと強引に刑務所内外で真相を求めて動き始める。一方で別方向から係長の綿貫もまた違和感をもって…。捜査の領域、決定権、何一つとっても自由にできないもどかしさが単純な事件を複雑にした。2023/08/14
fuku3
35
2023.7.30読了。シリーズ第3弾。刑務所の祭典日に元受刑者が刑務所内の焼却炉で首吊り自殺!偶々祭典に来ていた警視庁の花房京子と綿貫係長!刑務所は刑務官の仕切りの為警察は手は出せない!だが京子は何かと疑問を所長の倉田に問う!倒叙ミステリは面白い!読んでるこちは犯人が分かっているから嘘や隠し事が見えている!今回は犯人の動機が中々分からなかった!動機が判明すると犯人の気持ちも分かるが⁉︎聖域での犯行は隠蔽を目的としているのでは⁉︎倒叙ミステリの最後に必ず"いつから分かっていたんだ"と云う!これが好き!2023/07/30