内容説明
権力の座を望む長女、その姉を恐れる次女、父親が気がかりな三女。日本一の家具店を一代で築いた“家具王”宝田壮一だが、寄る年波には勝てず、また後継者選びにも悩んでいた。三姉妹も役員だが、それぞれの強い思いが不協和音となり、家族間に暗い影を落とす。一族を取り囲む社員たちに加えて投資ファンドの策謀が絡み、影は濃く、深くなるばかり。宝田家具には“破滅”への道しかないのか!?家族の“絆”は、幻想にすぎなかった。『リア王』を下敷きに、古くて新しい家族の悲劇を描いた意欲作。
著者等紹介
江上剛[エガミゴウ]
1954年、兵庫県生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。第一勧業銀行(現・みずほ銀行)に入行し、人事部や広報部、各支店長を歴任する。1997年の第一勧銀総会屋事件では問題の解決に尽力し、この事件を題材にした映画『金融腐食列島呪縛』のモデルにもなった。2002年、銀行勤務の傍ら、『非情銀行』で作家デビュー。2003年、銀行を辞め、執筆に専念。テレビのコメンテーターとしても活躍する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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PEN-F
43
大塚家具のお家騒動とリア王がごっちゃになった感じです。創業者の現社長である父親と3人の娘達が社長の座をめぐり揉めに揉めます。そこに加えて長女 次女の旦那さん達の思惑も絡み合い、収束がつきません。さらに加えて創業者、または3人の娘達の誰に付けば今後の安泰が約束されるかしか興味のない幹部たち。そして極めつけは次期社長になる条件が父親であり現社長の老後の面倒を見てくれる者っていうね...。もう会社とか一切関係なくなってるし。...ダメだなこりゃ。あと、とりあえず最後はどんな形でもいいからケリをつけてほしかった。2023/07/16
rosetta
36
★★✮☆☆大塚家具をモデルにした『リア王』のパロディって理解した上で読むと、手抜きか⁉️と思うほどに全くこの作者のオリジナリティがどこにも感じられない。三人の娘が父への愛情をアピール合戦する第五章「試問」では登場人物の会話が大袈裟な舞台劇の台詞そのまんま過ぎて鼻で笑わずにいられなかったw。内容が薄いので滅茶苦茶リーダビリティが良かった。頑張って一代で大企業を育て上げても老後が虚しいんじゃ人生の意味なんてないね。子供に疎んじられちゃったら、死後に持って行けるものなんてないんだから。2023/11/08
kum
30
老舗家具店が舞台の愛憎劇。同族経営の内側には経営方針の違いなど当然ドロドロしたものもあるのだろうが、あまりにも…という感じ。創業者の父は父で浅はかさが過ぎるし(それでもその信念を命懸けで支えようとする人たちがいるということは、それなりの人なのだろう)、娘も娘で酷い。言葉遣いも演劇のようで失笑するシーンもあったが、皆さんのレビューで『リア王』をベースにしていると知って納得。2023/06/23
tetsubun1000mg
21
世間を巻き込んだ大塚家具が題材かと手に取るが、中盤からは内容が伝わりづらいややこしいセリフが増えてくる。 まるで中世の演劇を見ているよう(見たことはないのだが)。 「倍返しだ!」で一世を風靡し池井戸潤のあのドラマの路線を目指したのか? でもあの原作はTVドラマとは違ってあんなにドロドロとはしていなかったような気がするが。2023/07/19
hirokun
19
星3 極めて読みやすく、サクサクと読める作品。私にとっては、ビジネスマンの時に経験したことでよく似た部分があったため、大変面白く読ませてもらった。 経営者の交代、事業戦略の見直し、すべて難しい問題。特に、変えるべきものと、変えてはいけないものを見極めることは難題だ。有名な神学者の言葉ではないが、最終的には、それを見極める知恵があるかないかが、その会社の未来を決めることになる。 ただし、事業経営においては、戦略の正しさもさることながら、運が味方してくれるかどうかが大きな要素になるのでは?2023/07/02