内容説明
「六つの迷宮入り凶悪事件の犯人を集めた。各人に与えられた武器で殺し合い、生き残った一人のみが解放される」女名探偵の死宮遊歩は迷宮牢で目を覚ます。姿を見せないゲームマスターは六つの未解決事件の犯人を集めたと言うが、ここにいるのは七人の男女。全員が「自分は潔白だ」と言い張るなか、一人また一人と殺害されてゆく。生きてここを出られるのは誰なのか?そしてゲームマスターの目的は?
著者等紹介
早坂吝[ハヤサカヤブサカ]
1988年生まれ。京都大学文学部卒業。京都大学推理小説研究会出身。2014年に『○○○○○○○○殺人事件』で第50回メフィスト賞を受賞し、デビュー。同作で「ミステリが読みたい!2015年版」新人賞を受賞。’17年『誰も僕を裁けない』で第17回本格ミステリ大賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
麦ちゃんの下僕
189
早坂さんの2年ぶりとなる新作は、期待に違わぬ“快作=怪作”でした! 早坂作品の特徴は、読後に振り返るとたった1つのアイディア/キーワードから物語を生み出し膨らませていったんだなぁ~とわかること(例えば『殺人犯対殺人鬼』のキーワードが「◯◯◯◯」であったように)。今回はまさに「◯◯」の1点に尽きる物語でした! きっと誰もが終始違和感を感じるはずですが…その正体に気づける“名探偵”は果たしているでしょうか!? それにしても…“あの言葉”や“あの人”までもが伏線だったとは!?…ヤられすぎてもう笑うしかないです!2023/06/01
しんたろー
117
好きな『らいちシリーズ』以外の早坂さん作品を読んだのは2作目…クローズドサークルものの面白さを前面に押し出し 散りばめた伏線を終盤で一気に回収する内容で、ミステリの楽しさを充分に味わえた。トリックも「今までにあるようでなかった?」と感じるものなので、過去に読んだミステリを思い出しながら楽しめた。『らいちシリーズ』で特徴でもある「エロ」がないのは少々物足りないが、万人に受け入れ易い作品なのかもしれない(一部、グロい部分はあるが)。本作には罪はないが、1年のラストを締め括るには相応しくなかったかなぁ(苦笑)。2023/12/31
yukaring
86
初読みの作家さんだったが、幾重にも張り巡らされた罠にすっかり騙されとても楽しかった。「6つの迷宮入り凶悪事件の犯人を集めた。各人に与えられた武器で殺しあい、生き残った1人のみが解放される」迷宮に集められた7人は疑心暗鬼になりつつ閉じ込められた建物を調べるが一人また一人と殺されていく。過去の「しおかぜ市一家殺害事件」と警察の捜査、迷宮の殺人と名探偵の存在、どこに仕掛けが隠されているか警戒しながら読んだのに全然気づかず作者の術中にすっかりハマってしまった。次々に明らかになるまさかの真相に完全にお手上げ状態。2023/08/19
aquamarine
79
最初の「迷宮牢」の全体図を見ただけでテンションが上がる。しかし次ページから始まるのは目を覆いたくなるような「しおかぜ市一家殺害事件」…。話はその後捜査パートを挟み、「迷宮牢の殺人」へと繋がっていく。途中何度も全体図に戻り、何度も「?」にぶつかって、思わせぶりな「捜査」パートに「?」を追加し、それでも楽しいからぐいぐい読み進め…二つの事件がどうつながるのか全く予想せぬままにその時を迎えてしまった。そしてそこで本当に天を仰いだ。もう、わかってみるとそうとしか読めないのに!ちゃんと早坂作品で本格で…好き。2023/07/29
★Masako★
67
★★★★☆ いきなり自己中で身勝手極まりない男による暴力シーンや殺害シーンに、顔をしかめながらも引き込まれた「しおかぜ市一家殺人事件」の話。次は冒頭の迷宮牢の見取り図を見てワクワクしていた「迷宮牢の殺人」の話が、自称"名探偵”の死宮遊步視点で語られる。死宮含め七人が迷宮牢に拉致監禁され、一人だけは助かるというデスゲームが開始されるが…。終盤の意表をつく展開の連続に驚きながらただただ読み進めるのみ!あちこちで感じた違和感、そういうことか!これはわからないわ(笑)久しぶりの早坂作品、とても楽しめた♪2023/09/12