内容説明
国内トップの大学を卒業し一流企業に就職したものの退職、現在はフリーランスの翻訳者として慎ましく暮らす凛子。姪の莉緒は、読書と昆虫が大好きで論理的思考が得意だが、融通が利かずコミュニケーションに難がある、危うい小学生だ。莉緒の中学受験に伴走することになった凛子は、周囲の期待にうまく応えられなかった自分の半生を振り返る―。頭がいい女子だから、いくつもの幸せを受け取れなかった。そんな私が、彼女の背中を押していいのだろうか。
著者等紹介
藤野恵美[フジノメグミ]
1978年、大阪府生まれ。大阪芸術大学卒業。2004年『ねこまた妖怪伝』で第2回ジュニア冒険小説大賞を受賞しデビュー。現在、大阪芸術大学客員准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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パトラッシュ
191
映画『アマデウス』は天賦の優秀さを誇りながら凡人に囲まれた子の生きにくさを描くが、そんな相手と接しねばならない凡人も苦労が絶えない。口達者な娘の莉緒を感情的に押さえつけるしかない妹夫婦に頼まれ、家庭教師を引き受けたヒロイン凛子が莉緒のギフテッドというべき賢さに気付く。東大出ながら人生に躓いた凛子は、姪に同じ道を歩ませまいと「上手に生きるノウハウ」を教えていく。叔母の教えを吸収した莉緒は周囲の凡人を操り、思う通りに生きる道を見い出すのだ。一見ハッピーエンドだが、莉緒が非情な独裁者となれば誰が止められるのか。2023/03/12
モルク
129
ギフテッド(先天的に顕著に高い知能、ある分野での突出した才能を持つがそれ故に生きづらさも多い)だと思われる姪の莉緒の中学受験の勉強をみることになった凛子。彼女自身もT大卒業ということで特別な目でみられモラハラにあい会社をやめていた。今や大学入試も学力だけの勝負の一般入試は少くなくなった。裕福な家庭の子がいろんな経験ができ、スポーツ、芸術、コミュ力など有利になる入試制度であることを知る。中学から切磋琢磨していくなかで中学入試に挑む莉緒。彼女なりの考え目的を持ち進み、そして何よりも妹弟思いの莉緒が大好き2023/02/10
ウッディ
123
東大卒でフリーの翻訳者として慎ましい暮らしを送る凛子と姪の莉緒との中学受験を軸にしながら、IQが高く、論理的思考に優れる、いわゆるギフテッドが故に、間違ったことが許せず、周囲との軋轢を生んでしまう子供の問題を描いた物語。賢いための苦悩と天から授けられた頭脳を伸ばしてやることができない、日本の教育制度への問題提起に考えさせられる一方、打てば響くような莉緒と凛子との二人の会話が気持ち良かった。彼女のような子供の才能を伸ばす受け皿としての教育制度を整備してほしい。とっても面白かったです。2023/05/16
ゆみねこ
102
国内最高峰の大学を出て一流企業に就職したが退職しフリーランスの翻訳者をしている凛子。姪の莉緒の中学受験のため勉強を見ることに。莉緒は賢いがコミュニケーションに難がある。高い知能を持つ子供の苦しさ、3人の子育てに悩む凛子の妹。ギフテッドの子供たちが才能を遺憾なく伸ばせる社会になれば良いけど、今の日本の教育では難しい。2022/12/29
☆よいこ
101
中学受験。子育て教育の話。凛子はT大卒で独身の翻訳業、妹の子供たちを甘やかし癒されている。小学5年生の莉緒が中学受験をするのに成績が振るわず塾にも行きたくないというので家庭教師を頼まれた。莉緒はIQが高くいわゆる「ギフテッド」だろうと感じた凛子は、精神科医の友人や専門家に話を聞き受験の手助けをする。一方で末っ子の真之介は言葉が遅く発達障害と診断された▽独身高学歴の金持ってる叔母さんが、賢い姪の相談に乗ってくれるとかちょっと理想的すぎる。凛子さんハイスぺ過ぎるのがファンタジー。少年が助かったのは良かった2023/02/13
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