出版社内容情報
北海道・七飯町にある米国企業データセンターで、連続密室殺人が発生。データセンターの内実をスリリングに活写する大注目作!
内容説明
イラク帰りの元傭兵・鹿島丈は妻の故郷・北海道で、米ソラリス社のデータセンター警備に就く。だが勤務初日、厳重なセキュリティーシステムを突いて、密室殺人が発生。道警やマスコミ、米軍属も駆け付け、現場は混乱を極める。さらに第二の密室殺人が起こってしまい…。封鎖された“クラウドの城”で、鹿島は殺人者と対峙する。IT文明の終着地で、世界を“実効支配”する“バベルの塔”データセンターの内実を描き切った大注目作!ノンストップ、ハードボイルド&本格ミステリー。壮絶にして至高、魂を揺さぶるエンタメ巨編。第25回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
著者等紹介
大谷睦[オオタニムツミ]
1962年東京都生まれ。会社員。『クラウドの城』で第25回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
157
第25回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作品。今回は2作品あって、先に『青い雪』を読んだのでこちらもの一冊。『新地平へ、ハードボイルド最高傑作!』と帯にある。ん・・ん、カタカナ苦手な私には途中かなり斜め読み(汗)舞台は道南森町と七飯町・大沼。元警官でイラク帰りの元傭兵・鹿島丈がこんなに活躍しちゃう?が率直な感想。そして、余命数ヶ月の鹿島の妻の行動にビックリだし、怪しいと睨んでいた元大学教授の大西の思惑と結果に遣る瀬無い。確かにハードボイルドの香りはプンプンしたが、ラストもこれしかないよね。2022/04/02
パトラッシュ
122
勤務先のコンピュータールームは多重電子キーで厳重に閉ざされているが、日常業務に携わる関係者はすぐ入室カードをもらえるし共入りも規制されていない。内部の者なら簡単に破壊工作を企めると思えたので、日米両政府肝入りの巨大データセンターが舞台の本書も同じ感覚で読んだ。登場人物が少なく思わせぶりな描写もあって容疑者は早々に絞り込めたので、公安警察や米情報機関まで出てきながら捜査にもたつくのはどうか。これだけの大事件を政治テロではなく個人的動機としたのは迫力を減じるが、大病を経験した作者の自由への憧れが書かせたのか。2022/04/16
おしゃべりメガネ
108
はじめましての作家さんで、舞台は北海道は森町に新たに建設されたデータセンターにて謎の連続密室殺人が発生します。なかなか専門的な記述が多く、個人的には書いてあるコトの半分も理解できていたかどうかはお恥ずかしい話、なんともでした。主人公「丈」はワケありの過去を葬り、恋人「可菜」と穏やかに暮らしています。そんな中、警備員として勤務する新設されたデータセンターで殺人事件が発生。果たして犯人は誰なのか、そもそも動機は何か、謎は深まるばかり。こういう作風、好きな人は好きなんだろうなと思います。ミステリー好きはぜひ。2024/01/27
海の仙人
39
日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作ということで読んでみました。北海道の自然豊かな森の中に建築されたデータセンターで連続殺人事件が発生。元傭兵である鹿島はセンターの警備要員としてITで管理された「クラウドの城」の調査に当たる。密室殺人のトリックより、犯人が徐々に絞られてくるに従って、「えっ、ほんとに?」っていう感じでした。最後の大沼でのシーンがとても静謐で良かったです。次作も楽しみに待ちたいと思います。2022/05/30
ヒデミン@もも
37
大谷睦さん、初読み。『クラウドの城』なんて大層なタイトル。各章タイトルがDAIGOか。最初の見取り図も私には不必要。ツッコミどころは満載だけど、全体的に面白かったし、文章が好み。2023/12/30