出版社内容情報
夏の数日をともに過ごす三組の家族を、悲劇が襲う。最年少の五歳の少女が失踪したのだ。慟哭の大河ミステリー。
内容説明
雪降る夜、ひとりの女が身を投げた。それがすべての始まりだった。非業の運命に翻弄されながらも、強く生きる人々を描く慟哭の長編ミステリー。夏の数日をともに過ごす三組の家族を、悲劇が襲う。最年少の五歳の少女が失踪したのだ。事件性も疑われるが、手掛かりが乏しく、行方は知れぬまま。穏やかな避暑地での日々は永遠に失われてしまった―。三組がそれぞれに秘めた複雑な家庭の事情と、長い時を経て発見された一通の告発状。絡み合った謎が氷解したとき、明らかになる真実とは?第25回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
著者等紹介
麻加朋[アサカトモ]
1962年東京都生まれ。主婦。『青い雪』で第25回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
166
ある少女の失踪事件を発端に、毎年別荘に集まっていた三家族の隠されていた秘密がきしみだす。少年少女を襲う悲劇と大人の身勝手な思惑と欲望の絡んだドラマは面白いが、物語を進めるための無理も目立つ。何よりも臓器移植で最大の問題である拒否反応の存在をスルーしていて、この件が最初にわかっていれば話自体が成立しないのに新人賞選考の時点で問題にはならなかったのか。殺人の動機も納得し難いし、政治家は悪辣で庶民は清純とキャラの善悪が単純化されすぎて個性が感じられないのも難点。新人らしい勢いと失敗が同時に出た文字通りの問題作。2022/04/20
ちょろこ
152
複雑、の一冊。幼い少女が失踪したひと夏の悲劇から始まる、複雑に絡み合った関係を描くミステリ。序盤から淡々とした文章で読ませられた。ある程度は読み手が予想しわかることはあれど、その背景はかなり複雑だった。幾つもの絡んだ糸を解きほぐす過程は素直に面白い。でも解きほぐす度にせつなさが新たに絡んで行くよう。失踪事件の根底、そこに至るまでの環境はあまりにも酷い。人間は物ではない。使い捨ての物ではない。その憤りが一気に押し寄せた。そして明らかになるもう一つの悲劇。全てはここから。タイトルの意味、感じる愛がせつない。2022/06/24
モルク
143
夏になると数日を共にすごす3家族。そしてその中の5歳の少女が失踪する。3家族それぞれに秘められた事情、そしてそれは複雑に絡み合い影を落とす。その絡まりを解きほぐしていったとき、そこに姿を表すのは、やはりブルースノー。主人公寿々音の後先を見ずにする行動にはハラハラするもイライラもする。序盤は登場人物の把握に苦労したが、文章は読みやすく引き込まれた。日本ミステリー文学新人賞受章作品であり60才でのデビュー作。本当におめでとう!今後も期待してます。2022/07/07
ゆみねこ
105
麻加朋さん、初読み。雪降る夜、若い女性が身を投げた。そこからどこへつながるのか?夏の数日を共に過ごす3組の家族。ある夏5歳の少女の失踪という悲劇で幸せな夏の日々は永遠に失われる。時を経て3組の家族に秘められた複雑な事情が明かされた時の驚き。愛に恵まれた少女と愛を求めて満たされない思いを抱えた少女。「青い雪」の謎でまた泣けた。第25回日本ミステリー大賞新人賞受賞作。2022/04/09
さっこ
94
第25回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。避暑地のような田舎で夏休みを過ごす三組の家族。五歳の少女が行方をくらます。家柄や血筋などそれぞれの運命。前半は子供たちの視点で話が進んで引き込まれるように読んだ。後半になってから、展開が唐突すぎて「えー」と思う場面もしばしば。二転三転めまぐるしく展開していくのだけれど、主人公たちの行動が理解できず少しイライラした。表題の意味が最後の一行で明かされた時は少し切なくなった。2022/03/13