出版社内容情報
伊予ヶ岳で女性が死亡。犯人と思しきストーカーは行方を眩まし、警察OBの女性の祖父はライフルを手に出奔。果たして事件の真相は?
内容説明
伊予ヶ岳の山頂付近で発見された若い女性の死体。事故死あるいは自殺と思われたが、彼女が最近までストーカー被害に遭っていたことがわかる。千葉県警生活安全捜査隊の山下正司は、彼女の死への関与を疑うが、ストーカー加害者は名家の御曹司で、事情聴取にも妨害が入る始末。さらに、その家族が銃撃されたという通報が入り、混迷は極まる。次に狙われるのは、そして、事件の中心にいるのは、誰なのか?単行本作業中に急逝した著者が遺した、長編捜査小説の白眉。
著者等紹介
笹本稜平[ササモトリョウヘイ]
1951年、千葉県生まれ。立教大学卒。2001年、『時の渚』で第18回サントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。2004年、『太平洋の薔薇』で第6回大藪春彦賞を受賞。警察小説、山岳冒険小説を中心に多数の著作がある。2021年11月22日死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いつでも母さん
179
ストーカー被害の孫が遺体で発見された。元所轄署副署長の祖父・村松の哀しさと憤りが伝わってくるようだった。ストーカー男・門井の真実を暴くべく県生安捜査隊・山下と第一発見者の所轄の生安課・小塚が捜査に奮闘する。何故こんなに頑ななのか、隠蔽、忖度・・捜査を混乱させて私の怒りがふつふつと湧く。捜査一課がそんなに偉いか?市井の人間には警察は警察でしかないのに、信頼は簡単に裏切られる。もうダメかとじりじりしながら、やっと門井親子の犯罪が曝されてスーッとした感じ。笹本さんの急逝が残念でならないー合掌ー2022/02/16
モルク
116
千葉伊予ヶ岳の山頂付近で見つかった女性の遺体。事故?自殺?しかし彼女がストーカーにあっていたことから、生活安全課は事件を疑い調査を進めるが、刑事課捜査一課ほ取り合わない。ストーカー加害者は地元名士の息子であり暴力団との関連も疑われるが、調査も警察内部からの妨害もあり苦戦する。そして被害女性の祖父の元警察官が大活躍、どうやって追い詰めていくのか。警察や警官の腐敗や癒着はひどい。ここまでではなくとも現実多少は横やりがはいったりするのかな。本作が笹本さんの遺作となる。素敵な作品をありがとうございました!2022/05/09
タイ子
102
読んでいる間ずっと腹立たしい思いが消えない。伊予ヶ岳の山頂で女性の死体を見つけた千葉県警生活安全課の刑事。彼女はストーカー被害に遭っていた事実が判明。加害者は千葉の名家の御曹司、父親は検察、警察関係に幅を利かせる男。弁護士は元高検検事長。捜査一課の刑事は彼らに忖度。警察は保身、出世の足掛かりなのか。クズ息子の証拠を掴もうと必死で捜査する生活安全課の刑事たちが清々しい。その中で見えてくる事実。じいちゃんは強かった!こんな警察の実態は小説だけにして欲しい。笹本さんの急逝は残念です、未読作品で偲ばせて頂きます。2022/03/08
まちゃ
83
後半に向かってスピードアップ、引き込まれました。面白かったです。千葉南房総の伊予ヶ岳で女性の死体が発見される。登山中に事故死したと思われた女性がストーカー被害に遭っていたことから事故から事件に発展していく。警察内部の対立や不正など、読み応えのある警察小説でした。作者の笹本稜平氏が昨年急逝されたとのこと。ご冥福をお祈りいたします。2022/03/19
タックン
65
笹本さんお得意の警察内部ごたごた物とストーカー問題を合わせた話。 だいたい筋と結末は読めたたのに、なかなか話が進まないし長くて読むのに難儀した。 それにしても警察組織の腐敗ぶりにはへきへきした。 もう少しストーカー問題を焦点に描いて欲しかったな。 笹本さんに急死で本作が遺作とか、合掌。2022/06/18