出版社内容情報
オカルト、稗史、陰謀論。あらゆるマイナーカルチャーのエッセンスを注ぎ込んだ最新型全体小説。巨匠が想像力の臨界点を示す傑作!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
中玉ケビン砂糖
59
半村良を始めとしてかつて隆盛を誇っていた伝奇ジャンルの刷新を試みた野心作とも言え、屈指のオカルトミステリ(日本&世界偽史総覧全書)とも言え、ポリティカル・フィクション(未曽有のdisasterが世界を襲った時、人々は何を考えどう行動するか)としての逸品などなどどうとでも言えるが、とどのつまり「どういう話か」と訊かれたら「うーん」と答えるしかない。たとえ三冊を通しで読み終えたところで、この作品世界の全容を把握するのは不可能に近い感がある。なので、ここでは幾つかの考察を提示するにとどめる。構想・執筆2022/07/01
ぐうぐう
28
1995年に「EQ」で連載が始まった本作は、全面改訂の末に今年全3巻で刊行されるにあたっても、その時代は前世紀末を踏襲したままだ。もちろんそこに意味があるからだが、帯裏の惹句に「私たちは本当に世紀末を乗り越えたのか」とあるように、あり得たかもしれない世紀末が、あるいは終末が描かれようとしている。相次いで起こる大規模な事故、爆破事件、子供の蒸発、突然死、そして街中に出没する人喰い豹。次から次へと怒涛のように展開される異様な出来事の連続に加え、UFOに超能力、戸来のキリスト伝説、シオンの議定書、(つづく)2021/08/12
楽駿@新潮部
26
品川図書館本。日経新聞の書評で心魅かれて。これまで私が読んできた世界とは全く違う。荒唐無稽と済ませる事ができないのは、様々な史実に基づいた出来事が、発端で語られているからだろう。超能力、突然死、人喰い豹、6本足の豚肉。いきなり切り出されたら、ただの絵空事と笑って終わったのに、フリーメイソン、食の合理化、マインドコントロール、その前に説明される事は、嘘ではない。「種の起源」の中で、徐々に進化していくものと思われていたが、実際は突然変異で新種に旧種が淘汰されていくとしたら?こんな面白い本ない!お薦め!次巻へ!2021/09/19
ぐりとぐら
15
壮大な始まり。先が気になる展開だけど、ここまででも、すごい色んなことが起きて、ハラハラする。2021/09/18
読書一郎
10
連載開始から25年。ついに完結した大長編の1巻目です。描かれるのは現代東京に現れる黙示録的な風景。23区内を人喰い豹が跋扈し、飛行機やヘリコプターは墜落、花見真っ盛りの上野公園では爆弾が爆発、団地の給水塔に毒が撒かれる。背後には怪しげな宗教団体の影が…先行きが予測不能なまま、この巻は終わります。(ミステリかSFかもわかりません) ちょっと鼻白むところもあるのですが、悪夢が現出してくるかのような作品世界はやはり唯一無二だと思います。2021/09/26