出版社内容情報
大正時代、華族捜査局の周防院円香と来見甲士郎は九鬼梨家の毒殺事件の捜査を進めるが――。暴いてはならなかった一族の秘密とは。
内容説明
大正時代、警視庁に「華族捜査局」が新設された。記念すべき初捜査、公爵で局長の周防院円香と、警部補の来見甲士郎は、九鬼梨伯爵家で起きた毒殺事件に取りかかる。動機は家督相続権争いと思われた矢先、円香たちの目の前には、第二の犠牲者の「生首」が現れ、鎌倉時代から語り継がれる九鬼梨家の「首なし村の呪い」が明らかに―。連続殺人犯の真の目的、そして決して暴いてはならならなかった“一族の秘密”とは…。
著者等紹介
岡田秀文[オカダヒデフミ]
1963年東京生まれ。明治大学卒業。1999年「見知らぬ侍」で第21回小説推理新人賞を受賞し、2001年『本能寺六夜物語』で単行本デビュー。2002年『太閤暗殺』で第5回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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麦ちゃんの下僕
133
〈装画:遠田志帆〉の作品にハズレ無し!月輪龍太郎シリーズ以外の岡田作品は初めてでしたが…実に面白かったです!時は大正、華族にまつわる事件を解決するために設けられた「華族捜査局」の初代局長に就任した“麗人公爵”周防院円香は、鋭い推理力と霊感(!?)の持ち主で、その意表を突く言動には部下の来見警部補も読者も唖然(笑) そんな円香さまが、九鬼梨伯爵家で発生した連続“生首”殺人事件に挑みます!岡田作品の真髄は、その時代だからこそ成立する「事件の構図」の奇っ怪さ…皆さんも見抜けるかどうか、ぜひ挑戦してみてください!2020/11/04
🐾Yoko Omoto🐾
111
名門華族で起こった連続首切り殺人、超絶浮世離れした美貌の捜査局長、彼女に振り回される部下の警部補など、王道の探偵小説のようなノリが何ともストライクだった。犯人含めお約束路線ではあるのだが、華族社会に於けるお家事情の特異さを際立たせる真相が秀逸。円香の勘の鋭さ(本人曰く霊感)と違和感を見逃さない洞察力がありながら、そのお披露目がオーラスまで為されないのもまた探偵小説のお約束なのである(笑)どこか二階堂蘭子を彷彿とさせる円香の令嬢キャラはベールに包まれた部分が多く、今後続編がありそうな雰囲気。面白かった。2021/01/16
ままこ
89
大正時代を舞台にしたミステリー。過去の呪いと相次ぐ不審な死は関連するのか…。鋭い観察眼と推理力を持つ華族捜査局長の円香。部下の甲士郎が独特の感性を持つ円香に翻弄されながら事件解決に難航する。複雑に入り組んだ人間関係で巻頭の人物相関図を何度も照らし合わせながら読んだ。なかなか真相に辿り着かない。本当の動機とは…。あの謎はヒントを元に何となく感づいたが、他のトリックは想像つかなかかった。色々焦らされたが面白かった。続編があれば読みたいな。2021/02/18
雪紫
51
2020年最後の読了。大正時代、いわくありげな伯爵家の連続首切り殺人に反して女性公爵円香さんのハイスペックマイペースキャラのギャップが凄い。事件より、掛け合いが印象強くなる・・・(そして名前だけ出た月輪とあの事件の扱い・・・何か絡んで行くんだろうか?)。そしてドラマ版「鍵のかかった部屋」で芹沢さんがミステリ好まない理由を体現した探偵の見本過ぎる・・・。芹沢さんでなくても言いたい。今言えよ(すみやかにというより、穏やかに解決待ち?)!2020/12/31
さっちゃん
50
大正時代が舞台の長編ミステリ。晩餐のメインディッシュが生首にすり替わったり、バタバタと一族の者が死んでいくのに、横溝正史ほどのおどろおどろしさは感じない。日本版マリーアントワネットかと思うほどの、円香の豪華な上流階級ぶりやズレっぷりが、雰囲気を明るくしているのかも。続編あるなら、せっかくなのでぜひ舞踏会や晩餐会など、華族の豪華絢爛な社交場でバッタバッタと殺して欲しい(笑) 大好きな遠田志帆さんの表紙にもウットリ♡ 老執事の加島が気になるので「加島の事件簿」みたいなスピンオフも読みたい。2020/11/30