出版社内容情報
コメディ映画監督の中井戸八郎はスランプ中。所有する“世界の黒川”の遺稿をネットオークションに出したのは家族の誰かだと疑うが。
内容説明
スランプ中の老映画監督のもとに、次々出戻ってきたいい年した子供たち。図らずも一家集結したところで、事件発生!家宝の脚本がなくなった!?家族と過ごす時間が劇的に増えた今、一番身近で一番ふしぎ、そして一番大切な人たちと向き合う勇気をくれる、笑いと涙の物語。
著者等紹介
中島たい子[ナカジマタイコ]
1969年、東京都生まれ。多摩美術大学芸術学部卒。放送作家、脚本家を経て、2004年「漢方小説」で第28回すばる文学賞を受賞して小説家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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starbro
279
図書館の新刊コーナーで見つけて読みました。中島 たい子、初読です。タイトルから料理や食べ物屋に関する小説かと思いきや、映画監督一家人情喜劇でした。故黒澤明監督へのオマージュ作品でもあります。中途半端なラストなので、続編もあるのでしょうか? 2020/09/14
fwhd8325
151
懐かしい世界でした。青春時代に見たたくさんの映画タイトルに「あの頃よかったなぁ」なんて想いながら楽しい読書でした。設定は現代的ではあるけれど、ストーリーは、まさしく昭和。昭和のホームドラマのようです。こういう喜劇を演出する人も演じられる芸人さんもいなくなってしまったようです。こうして小説の世界だけでも楽しませてもらえるのはうれしいですね。2021/01/10
モルク
146
引退も考えている映画監督八郎と元女優の妻、そして引きこもりの次男の住む家に、長男が仕事をやめ家族を置いて戻ってくる。そして長女(?)も離婚し息子を連れて帰ってきた。家族と向き合うことのなかった八郎は浮いてしまう。世界の黒川と呼ばれた巨匠の監督の遺稿により家族のドタバタからのほっこり。引きこもりやLGBTについてもあたたかい目で捉えている。ちゃらんぽらんのようで、それも個性!自分がやりたいように生きてごらんという八郎の想いが溢れている。孫の吾郎君が潤滑油の存在。2021/01/13
けんとまん1007
132
改めて家族って・・と考えた。それと、タイトルのかきあげ。かきあげって、いくつかの具材がそれなりにハッキリと存在がありながら、それでも全体で一つにまとまっている。その具材は、種類や大きさはそれぞれだが、それだからこそいいんだろうな。さて、うちの家族、そんなかきあげになるんだろう?2020/11/03
よつば🍀
123
どこにでもいそうな家族の話は多々あれど、日本中どこ探してもいなさそうな強烈家族の爆笑ストーリー。主人公はスランプ中の老映画監督・中井戸八郎。元女優の百合子を妻に持ち家には引き籠りの次男が同居中。そこへ仕事を辞めて戻って来た長男、離婚し孫を連れて出戻った長女と、その後の波乱を予感させる展開なのだが。だが笑える。ちょいちょい挟まれるサブイダジャレに、ボケとツッコミ、思わず噴出す事数回、ニヤニヤが止まらない。『みんなちがって、みんないい』なんて言葉を頭に想い浮かべながら、このてんこ盛りのかきあげ家族を楽しんだ。2020/09/03