出版社内容情報
竹林の七賢の話題は、ときに謎の話「疑案」に及ぶ。彼らは博識優秀な頭脳を絞って挑むが、明晰に解くのは、意外な紅一点だった──。
内容説明
中国、三国時代末期。「疑」の国は皇帝を傀儡とし、絶大な権力を持つ司馬氏の専横の下、権謀術数が横行し、密告がはびこる世だった。その欲にまみれた俗世間に背を向け、竹林に集い、酒を酌み交わしながら清談に耽る詩人、音楽家、学者、高級官僚などなど七人の男たちがいた。飄々と風雅に語り合う彼らの話題は、ときに持ち寄った謎の話「疑案」に及ぶ。怪異な謎、不可能な謎、不思議な謎等々に、彼らは博識優秀な頭脳を絞って挑むが、一刀両断、明晰に解いてみせるのは、意外な紅一点だった―。
著者等紹介
田中啓文[タナカヒロフミ]
1962年大阪府生まれ。神戸大学卒業。’93年「凶の剣士」で第2回ファンタジーロマン大賞佳作入選、短篇「落花する緑」で鮎川哲也編「本格推理」に入選しデビュー。2002年「銀河帝国の弘法も筆の誤り」で第33回星雲賞日本短編部門、’09年「渋い夢」で第62回日本推理作家協会賞短編部門を受賞。ミステリー、ホラー、伝奇と様々なジャンルで活躍している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
榊原 香織
91
竹林の七賢に憧れる高校生だった私 魏じゃなくて疑の国、となってるから全体がパスティッシュなんだろうけど。 古の中国、竹やぶで酒飲みながらの軽い推理連作。でも本当の探偵役は・・ この作者は当たり外れが大きくて。これは普通かやや凡庸。2020/12/14
☆よいこ
83
後漢の時代の中国。7人の賢人たちが竹林に集い酒を飲み交わしながら歓談する。時には謎解きのような不思議な話題が出ることもあり、大いに盛り上がる。[尸解仙(しかいせん)]仙人になりたい男の話。消えた死体の謎[酒徳頌(しゅとくしょう)]高楼で窓から落ちた男が無事、アリバイ工作[竹婦人(ちくふじん)]抱き枕を妻として[竹に虎]虎の正体、人食ホラーか[老子はどこへ行った?]老子の行方を推理[最後の清談]月琴▽ホラーとファンタジーが混じる中華ミステリー。お酒と音楽の話が多い。楓雅ぶっていけ好かないかもだが楽しめた。2020/10/04
雪紫
44
竹林の七賢の知識はないから個人的には乗れないところがあったけど、基本とぼけムード。ようやく乗れた時に終わってしまったと・・・。個人的に印象強いのは「竹夫人」と「老子」かなぁ。2025/01/14
ひさか
39
光文社ミステリ専門誌ジャーロ51号(2014年7月):戸解仙、52号(2014年11月) :酒徳頌、ジャーロ57号 (2016年6月):老子はどこへ行った?、書き下ろし:竹夫人、竹に虎、最後の清談、の6つの連作短編を2020年8月光文社から刊行。華虞(かぐや)姫が、謎を解き明かす安楽椅子探偵もの。ちょっとした謎解きばかりなのだが、華虞姫の蓮っ葉な口調と相まって楽しく面白い。2020/10/16
rosetta
35
6話の短編集。竹林の七賢人が探偵役をするのかと思ったら皆の推理が出た所で竹の精「華虞姫」が真相を言い当てる『黒後家蜘蛛の会』みたいなパターンかと思えば、三話目はホラーで推理もない。四話目の真相はおちゃらけで、蹴鞠ならぬ棒で鞠を打つ打鞠が流行っていて人気のチームは白虎団、別名大河衆(たいがしゅう)とはさすがバカミスの人、民明書房かよ(笑) 曹操とか曹丕の名前が出てきてもそもそも三国が疑と誤と蝕なんだから何をか言わんやであるw 陰険な野望家にされている鐘士季って蜀を滅ぼした鍾会の事だったのね2020/10/22