内容説明
武田、今川、北条の同盟で政略結婚をさせられた、三人の姫―黄梅院、嶺松院、早川殿。束の間の幸せは三家の対立によって崩れてしまう…。戦国の世の道理に翻弄されながらも、愛する家族のために生きる女たちの運命とは!?本願寺顕如の室・如春と亡き朝倉義景の娘や、信玄の娘・松姫の悲恋なども収録した渾身の短編集!
著者等紹介
村木嵐[ムラキラン]
1967年京都市生まれ。京都大学法学部卒業。会社勤務を経て’95年より司馬遼太郎家の家事手伝いとなり、夫人である福田みどり氏の個人秘書を務めた。2010年、『マルガリータ』で第17回松本清張賞を受賞し、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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イトノコ
25
図書館本。武田、今川、北条の三家で婚姻が交わされた。男たちの争いに巻き込まれながらも生を全うした女性たちを描く短編集。/前半3話はひたすら陰鬱でなかなか進まず。武田信虎-信玄-義信の3代にわたる愛憎に巻き込まれ、耐え続ける女たち…。「仕合わせ」とは言いつつも、そう思おうとしているだけではないか?しかし後半3話は少し趣向を変え、乱世の中でも強く生きたヒロインたちが描かれる。興味深かったのは石山本願寺の内部を描いた「如春様」。三位の最期が、激しくも静かな余韻を残す。あとの2話は「将軍の子」を再読したくなった。2021/02/13
keith
25
戦国という嵐の渦の中で、抗うこともできず翻弄される姫たち。なかでも北条家に嫁いだものの、父信玄による同盟破棄により武田家に帰された春姫が最も哀れでならなかった。2020/06/02
maito/まいと
21
信玄の正室・三条から娘たち、そして見性院から保科正之へのバトン。武田家に棲まう暴力と愛憎のDNAを注がれながら、愛と幸せを願い続けてきた女たちを描く連作短編集(それ以外の家の作品もあり) 史実を重視し大きな流れを理解した上で、著者の世界観を前提にし、人々の内面に意識を向けていく作品がここ数年増えていると感じていたが、本作もその一作。善悪でも栄枯盛衰でもなく、精一杯のあがきと願いを引き継いでいく様に、なんともいえない感情が押し寄せてきた。 今年話題の贈与論視点でみると、彼女らの思いへの理解がさらに深まる。2020/10/13
ハッチ
14
★★★★☆武田、北条、今川などに嫁いだ姫目線のストーリー。主人公が女性なので、今までとは違った歴史小説だった。面白いと思う。2020/07/09
mitubatigril
10
戦国時代 嫁ぎ先に翻弄される姫君達 武田家に関係する姫君を中心に6話からなるの短編集 甲相駿三国同盟を結んだ 武田家と北条家と今川家 同盟の証としてそれぞれの家の姫達と婚姻を交わすが戦国の世 同盟を結んだから幸せに最後まで過ごせたか?となるとそうではなく やはり波乱万丈な人生を過ごした。 この時代を扱ってる作品をわりと読んでるからだいたいの意味合いもわかってたからあまり新しくそんな目線があるんだとも思えなかったが本願寺の教如の話は知らなかったのでそこは新鮮だったかなぁ2020/08/29