出版社内容情報
多くの本格ミステリ作家からリスペクトを受け、後進に多大な影響を与えた傑作を愛蔵版として刊行。秘話満載のインタビューも収録。
内容説明
死者が甦る世界で起こる、前代未聞の本格推理。特殊設定ミステリはここから始まった!三十年を経て新たに甦る名作『生ける屍の死』永久保存版、降臨!!
著者等紹介
山口雅也[ヤマグチマサヤ]
1989年『生ける屍の死』で長編デビュー。1995年『日本殺人事件』で第48回日本推理作家協会賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アオ
5
アメリカの各地で、不可解な死者の甦り現象が起きていた。一族のパンク青年のグリンは、遺産騒動の渦中で命を落としてしまう。そして、彼もまたリヴィング・デッドとして甦ってしまった!さらに一族に連続殺人が巻き起こり、グリンは自らの死を隠したまま、事件を追跡する――。グリンは自分の肉体が腐りきってしまうまでに真相を突き止めることができるのか? なんとか読み切ったと言うのが正直な感想。キリスト教、生と死、パンクロックに生物の進化までミステリーを根底に置きつつ哲学的なことも盛り込まれていた。そして伏線も盛り盛りだった。2024/12/31
C部
0
巻末のインタビューで雰囲気を重くさせない為に合間のコメディ色を強くした、とあったが、むしろ甦りという奇抜な設定に支配される世界そのものの滑稽さが表出しているようだと思った。キャラクターの話す個々の死生観(エピローグも含む)はふーんという感じだったが、アメリカ、キリスト教の思想を土台にしながらも、瞬間の永遠と構造的な循環(生と死の二元的な対立の解消)という仏教的な思想に行き着くのは面白かった。ジャンル史的な画期ではあったのだろうが、同時代人ではないので、その凄みをうっすらとしか感じ取れないのが残念なところ。2025/02/02