内容説明
戦国末期の天正十四年十二月、九州最大の大友家が、今、滅びの時を迎えている。大友宗麟の重臣吉岡家の鶴崎城では、ひとりの留守居の女武将が、御仏に仕える尼僧の身でありながら、女子供年寄りたちと残り、島津軍相手に籠城していた。「一戦も交えずして敵に降るなぞ、武門の恥」と降伏を拒絶し、抗戦の道を選んだ妙。十三年前、激烈な政争によりキリシタンの右京亮との恋は無惨にも引き裂かれ、吉岡家に嫁いだものの、島津との戦で若くして夫覚之進を失う。復讐に燃える妙は、滅びゆく国の小さな城で、驚異の抵抗戦を展開してゆく。著者のライフワーク「大友サーガ」初の女武将を生き生きと描く、戦国ロマン小説!!
著者等紹介
赤神諒[アカガミリョウ]
1972年京都市生まれ。同志社大学文学部卒業、東京大学大学院法学政治学研究科修士課程修了。私立大学教員、法学博士、弁護士。2017年『大友二階崩れ』で第9回日経小説大賞を受賞し作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
Kiyoshi Utsugi
33
大友氏の家臣である吉岡鎮興(この本の中では吉岡覚之進)の妻である妙(後の妙林尼)を主人公とした作品。 物語は、島津氏と大友氏の戦いの一つである乙津川の戦いから始まって、一度10年以上前に遡って、妙が吉岡鎮興と結ばれるまでを描いています。 そして最後、また乙津川の戦いに戻って、妙の知略によって薩摩三将のうちの二人白浜重政、伊集院久宣を討ち取り、残りの一人の野村文綱にも負傷を負わせるという大金星をあげるところまで。 恋と戦に生きる妙をいきいきと描いています。こんな女武将(実在の人物らしい)もいたのですね。2021/11/21
衛兵
25
「大友二階崩れ」で受賞された赤神諒先生の作品。没落する大友家にあって、最後まで島津に徹底抗戦した女城主、吉岡妙林を描く物語。大友家をテーマとする作品をいくつも書いていらっしゃるので、大分の方と思っていましたがお生まれは京都なんですね。主人公の妙もさることながら、そのお相手の臼杵右京亮がカッコいい。大友家を分断しようと企むダークヒーローが、彼女と出会い、変化していく様、また、唯一無二の友である覚之進との繋がりの描かれ方も良かった。2019/11/09
Fumoh
8
吉岡妙林尼という実在した女城主(といっても代理)をモデルにした著者の大友サーガの一つ。妙林が生きた時代は、大友の衰退期と、島津軍の最盛期と重なる。大友家の君主・大友宗麟は九州にキリスト教国を作ることを夢見ていたが、島津や龍造寺との戦いが芳しくなく、旧勢力として覇気のなかった大友軍は衰退の一途をたどった。跡継ぎの大友義統もキリスト教への帰依と棄教をくり返し、家中は真っ二つに割れていた。もはや上方の豊臣秀吉軍の救援を待つほかない大友勢は、時間を稼ぐために最後の戦いを繰り広げることとなる、という戦国史としても2024/07/10
如月小町
8
初読みの作家さん。表紙につられて読んだけど、シリーズだったのですね。キリシタンの事もわからずに読んで、途中までは、まどろっこしくてなかなか読み進めなかった。右京亮と左京亮の戦いあたりから一気読み。後半はスピード感があって面白かったです。2019/10/31
yomomo
7
大友サーガも5作目となると大友家臣団に詳しくなってきて読みやすく感じる。うまくまとまっていて満足の一冊。2025/03/09
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- 和書
- 占領下の議会と官僚