出版社内容情報
阿津川辰海[アツカワ タツミ]
著・文・その他
内容説明
被疑者射殺の責を問われ、謹慎に限りなく近い長期休暇をとっている警視庁刑事・獅堂。気分転換に訪れた山間の寒村・入山村で、香島と名乗る少年に出会う。香島は、紫水晶を使った未来予知の研究をしている“星詠会”の一員で、会内で起こった殺人事件の真相を探ってほしいという。不信感を隠さず、それでも調査を始める獅堂だったが、その推理は、あらかじめ記録されていたという「未来の映像」に阻まれる。いったい、何が記録されていたのか―?
著者等紹介
阿津川辰海[アツカワタツミ]
1994年、東京都生まれ。東京大学卒。2017年、『名探偵は嘘をつかない』が、光文社の新人発掘プロジェクト「カッパ・ツー」に選ばれ、デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ダイ@2019.11.2~一時休止
88
未来予知を限定的に映像として残せる星詠師が残した殺害現場の映像から犯人を探していく。阿津川さん2作品目ですがなかなか良かったです。今後も期待です。2018/11/08
papako
73
何となく気になって。未来を記録する紫水晶、その記録が示す殺人犯。確定された事実から、まったく違う答えを探す。予言というものを扱いながら、本格的な推理ものでした。でしたが、なんだ?この昭和な文章は?言い回しが古いし、女性の設定や女言葉とか、若い女性の喋り方とか!2018年に27歳とは思えない主人公。みんな昭和なかおり。島田御大の文を読んでるみたいでした。作者、1994年生まれなのか。一周まわって新しいのか?と言いながら、楽しめました。2019/04/24
yukision
58
紫水晶に未来の映像を記録する力を持つ星詠師が殺され、その事件の瞬間の記録をもとに謎を解く特殊設定ミステリー。複雑なために説明も細かく、ややこしかったが、論理的に謎を解明していく過程は面白かった。2021/05/12
ゆのん
49
紫水晶の中に未来に起こる出来事が画像になって記録される。未来の映像に殺人の場面を見たら…。という特殊設定ミステリ。設定が特殊故にかなり説明場面が多かったが、捜査が開始されてからはとても面白かった。少しずつ謎が解明されていく度に私の中では容疑者が増えていき、早々に推理は投げ捨てドラマや映画を観るように楽しもうとするも、かなり複雑な謎解きを理解するのに四苦八苦する始末。読んでいる過程で伏線を察知していたので、謎解きでの回収は楽しんだ。個人的には『動機』の部分が若干弱い気もしたが楽しく読めたので良しとしよう。2024/07/07
カノコ
42
星詠師が水晶に予知した未来は、不可避で必ず現実となる。大星詠師の持つ水晶に記録された殺人の様子を覆すことはできるのか。水晶による未来予知は絶対であるという条件のもと、それを如何に別の解釈ができるかというのが主題。派手なテーマの割に捜査パートは堅実で盛り上がりに欠けるが、未来予知を切り崩そうと試みる切り口は面白い。固定された未来=現実に対しての発想の転換と逆転は見事で、二作目にして仕上がっている感はある。デビュー作、今作ともに特殊設定ミステリだけど、このテイストならド直球の本格も読んでみたい気がする。2019/08/05