出版社内容情報
2014年3月、97歳で亡くなった大西巨人。連れ添った夫人が、正に波瀾万丈としか表せない66年を描く
内容説明
18歳の出会いから、主治医に不可能と言われた自宅でのたった一人の看取りまでを綴る。
目次
第1章 奮闘(応募する気はありませんか;わからないことがあったら、辞書を引きなさい ほか)
第2章 熱闘(その内情は誰も知らないだろう;必ず何とかなる ほか)
第3章 苦闘(そんな人を信用できない;おれは煙草を吸う人間ではない ほか)
終章 敢闘(本の整理をしていいですか;巨人大好き、世界で一番好き ほか)
付録 大西巨人 二〇〇六年三月六日のインタビュー
著者等紹介
大西美智子[オオニシミチコ]
1928年1月10日、福岡市生まれ。1946年、雑誌「文化展望」によって、巨人と出会う。1948年11月3日、巨人と結婚。以後65年間巨人とともにあり、2014年3月12日、自宅で97歳の巨人を看取る
大西巨人[オオニシキョジン]
小説家、批評家。1916年、福岡市生まれ。九州帝国大学法文学部中退。毎日新聞西部本社勤務を経て、対馬要塞重砲兵聯隊の一員として敗戦を迎える。戦後、福岡で雑誌「文化展望」の編集に携わり、「近代文学」第二次同人となる。52年に上京。以後幅広い創作活動を続けた。2014年3月12日没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やどかり
15
地元出身の作家だというのに、大西巨人という人を知らなかった。終生強い信念を持ち、最後まで奥様もそれを支えてこられた。奥様も書かれていたが、間違ったことに対しては徹底して闘う人だった。小説を書くために就職はしないと決め、生活の大半はお金に苦労されたようだが、奥様は苦に思う感じではなかった。80を過ぎて夫の自宅介護をやると決めた奥様も強い方だと思うし、巨人を尊敬していたんだろう。こんなに愛情深い夫婦はそうそういないのではないか。2020/11/11
モリータ
8
◆2017年刊。福岡の文芸誌『文化展望』の仕事で出会い、血筋のことで家族と衝突しつつも固い意志によって結婚した二人。就職せず文筆に専念する巨人とそれを支える妻、佐藤徳・武井昭夫ら友人、難病をもって生まれた息子達の姿。そして巨人の高潔率直な人格、強い意志、正確な言葉、抜群の記憶力、偉大な知性が無になるまでの日々。意味不明の唸り・叫びの中でも、かつて諳んじた歌や愛の言葉を交わす二人には感動する。「神聖な義務」論争や生年のことも簡潔に記述してある。◆巨人が好んだという紫基調の・桔梗をあしらった装丁も美しい。2020/09/08
hasegawa noboru
6
〈「うそつき、ごまかし、妥協」を嫌い、容赦しない言動だった〉人、厳格主義者大西巨人にたがわぬ終末期であった。巨人九十七歳で逝ってもう四年経つのか。〈大西巨人、終生闘い続けた人でした。〉「第四章 敢闘」三か月に及ぶ入院介護付き添い記録を含めて、自宅へ引き取っての十五日間の看取り(結果的に)介護の日録がもの凄い。もっとも美しく強い夫唱婦随の姿がここにあって、それは筆者十九歳で知り合って以後、六十五年貫かれたわけだ。2018/03/28
OjohmbonX
2
ごく個人的な体験として、18歳で大西巨人の作品に出会って(こんな小説があるのか)とものすごく驚いて、巨人の小説・随筆を集中的に読んだ時期をもったことが、自分の人格や思想の形成に最も影響を与えていた。その人の生涯と最期を一番見ていた人の、とてもフラットに綴られた報告を読めることは、(巨人当人がそうしたものの公表をひょっとしたら望みはしないかもしれないけれど)私自身にとっては大きな喜びだった。2022/11/27
猿田康二
2
大西巨人を初めて知ったのは勢古浩爾の「定年後に読みたい文庫100冊」の中の「別格の9作品」の中に彼の「神聖喜劇」が選ばれていた事からだった。そこには「主人公の東堂太郎が壮年の大西巨人に重なる」と書かれていて、それ以来大西巨人とはどんな人物なのかずっと気になっていた。先日、新聞の書評を読んでいて本書のことが書かれていたので、早速手にとって読み始めたが、不覚にも読みながら涙が止まらなかった。なぜこんなにも感動したのか?そこには現代の夫婦や家族が忘れてしまった不滅の夫婦愛が描かれているからだ。2018/03/06
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