出版社内容情報
郷愁に満ちた、やさしい読み心地のSF連作集。
内容説明
あなたの郷里にもあったかもしれない、謎めいた個人病院。小さな港町を訪れた異星人との交流を、少年の視線で色彩豊かに描いたノスタルジックSF。
著者等紹介
藤崎慎吾[フジサキシンゴ]
1962年東京都生まれ。米メリーランド大学大学院海洋・河口部環境科学専攻修士課程修了。1996年、「レフト・アローン」で第15回SFファンジン大賞を受賞。1999年に刊行された単行本デビュー作『クリスタルサイレンス』が「ベストSF1999」第1位に選出され、注目を集める。2014年、「「恐怖の谷」から「恍惚の峰」へ~その政策的応用」で第1回日経「星新一賞」を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さく
26
主人公は小学生の少年・丕彦(モトヒコ)。脚が悪いので一緒に遊ぶ友だちがおらずいつも一人で遊んでいる丕彦は、謎のスライムを触ったことから異星人科の医者と関わりを持つようになる。児童書っぽいのに、出てくる異星人たちの描写が妙にリアルで気持ち悪く、そこが面白い。私と同じ名前の女性も登場していて嬉しかった。(弟のような異星人と遊ぶ話・猫神の壁を通り抜けた先の陽炎街の話・スザクのさえずりと引きこもりのお兄さんの話・胎児の脳を移植した異星人の話・800年間子どもを探していた木の話。)2018/01/18
tom
22
藤崎慎吾が書いたもの、調べてみると何冊も読んでいた。それなりに関心を持った作家だと思うのだけど、この本はどうだろう。SFらしき外見を持っているけれど、内容は・・・。多種異星人のための治療所が主人公の家の近くにあって、その治療に主人公も少々かかわって、という物語。何を語りたいのかいまいち不明。そもそも、多種異星人や地球人とのコミュニケーションが取れるのかという問題をスルーしているから、ネタが深まらない印象。そうですかと思って読み終える。2025/06/08
kosmos
20
片足が不自由な少年が、ある日不思議な漂着物と出会ったことをきっかけに、宇宙から患者がやってくる「異星人科」と関わることになる話。優しい世界観のファンタジーで、心にふわっとしみこむ。ゆったりと一つ一つ大切に読みたい本。2018/02/06
Tadashi_N
17
光学迷彩が多用される、もののけ異星人ファンタジー。2021/08/27
rosetta
12
★★★★☆タイトルや表紙からもっと子供向けの他愛ない話かと思っていたら(そんな本手に取るなよ)なかなか読みごたえがあった。作者はほぼ同年代で主人公の少年も同じ頃の設定。世相やベルボトムジーンズとかフォークシンガー風と言ったファッションに時代を感じる。実は何百年も宇宙人を治療してきた人たちがいて、それが陰陽師の流れであったとか面白い。たまたま宇宙人を見つけてしまった主人公が次々と関わりを持つ。自分そっくりに育つ宇宙人に健康体であったはずの自分や本当はいない弟との関係を疑似体験する第一話が切なくて好き。2017/07/31