出版社内容情報
次世代プロジェクト「カッパ2」のセレクションを受けた長編本格ミステリが、ついに刊行。
内容説明
名探偵・阿久津透。その性格、傲岸不遜にして冷酷非情。妥協を許さず、徹底的に犯人を追い詰める。しかし、重大な疑惑が持ちあがった。それは、彼が証拠を捏造し、自らの犯罪を隠蔽したというものだった―Kappa‐Two応募当時、弱冠20歳。新しい才能は、本格ミステリにどう挑んだのか。ミステリファン必読のデビュー作!
著者等紹介
阿津川辰海[アツカワタツミ]
1994年、東京都生まれ。東京大学在学中。学内の文芸サークル「新月お茶の会」に所属している。『名探偵は嘘をつかない』がデビュー作(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ままこ
81
ここが原点か。『透明人間は密室に潜む』作者のデビュー作。名探偵にかけられた重大な疑惑。弾劾裁判を通して真相追求されていくのだが…。分厚いがその特殊設定も絡められた真相が気になり一気読み。予想外な展開まさに悲喜劇。荒技が駆使されツッコミどころ満載だがそういうものだと割り切って読めば楽しめる。読む人を選ぶ奇想本格ミステリ。【光文社新人発掘プロジェクト選出作品】2021/06/18
のぶ
70
いろんな本格ミステリーを読んでいるが、本書は個人的に特に分らない作品だった。最初に探偵機関は警察庁の下部組織に属すという設定がある。その中で探偵の阿久津透に重大な疑惑が持ち上がって、弾劾裁判にかけられるというもの。前半部は何だがゴチャゴチャしていて状況が掴みにくい。後半に入り裁判が進行し始め分かりやすくなったかと思ったが、いろんな殺人事件が入り乱れて、自分としては本筋に集中できない。???のまま終わってしまった印象だった。2017/08/28
buchipanda3
39
著者デビュー作の本格ミステリ長編。名探偵の弾劾裁判という意表を突いた設定が目を引く。真相を暴く側の探偵が暴かれる側に。しかも訴えた側にはワトソン役の助手も参加という中々きな臭い雰囲気で始まる。でも重苦しいというよりも軽妙な会話が交わされたりファンタジックな設定が入ったりして、ゲーム的な展開を楽しむものという感じ。事件については探偵自らひっくり返すなど翻弄され、どうなるか最後まで興味は尽きなかった。そして特異な設定を上手く活かした収束。ただ、残った状況にはちょっと茫然とした。確かに悲喜劇。次作も期待。2017/06/22
きっしぃ
38
名探偵阿久津透の弾劾裁判、探偵の資質を問われる4つの事件。15年前の推理は本当か嘘か、探偵こそが犯人なのか?首切り、密室と盛り沢山なのに、さらに転生、幽霊なんて要素が入って盛り盛り沢山なストーリー。転生の要素をロジカルに取り込み、ミステリーとしても斬新。突っ込み所もあるけど、予想のつかない展開で面白かった。久しぶりに2日で読めた本😅『透明人間~』も早く読みたい。2021/04/16
geshi
37
章題に傑作ミステリの題名をそのまま使い、ミステリガジェット満載の事件を出して、名探偵の弾劾裁判をファンタジックにオカルトな要素含めて逆転裁判そのままの形式で行う、作者の好きが前面に出た作品。密室の偽トリックとその否定、そして名探偵の推理するトリックとその穴、二重三重に考えられていてコレ単体でも作品にしていいと思うレベル。最終章の逆転に次ぐ逆転はゲーム的ではあるけど、この設定でしかできない離れ業をやってのける。ただし作者の好きや盛り込みが過剰で、もっとスッキリできたはずだとは思う。2017/08/17