出版社内容情報
宮本紀子[ミヤモト ノリコ]
内容説明
贅沢三昧の放蕩息子が、大店を飛び出し、ある日突然、大道芸人たちと長屋暮らし!笑って泣けて、心がふわりと温まる江戸人情噺。
著者等紹介
宮本紀子[ミヤモトノリコ]
京都府生まれ。市史編纂室勤務などを経て、2012年、「雨宿り」で第6回小説宝石新人賞を受賞しデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
タイ子
78
江戸の大店の跡取り息子、許嫁もいるのに吉原に入り浸りの放蕩息子。久しぶりに帰ったら何と弟と許嫁が良い仲に、妊娠までしちゃってるし。家は追い出され放蕩息子が放浪息子に(なんちゃって)。助けを求めた先はかつての彼の乳母の元。紹介された長屋の住人達がこれまた一癖も二癖もあるおせっかいな大道芸人たち。悲しい過去を背負ってる人は他人にも優しくなれるんだな。何もできないボンボンが始めた商売が狐の恰好をした飴売り。元許嫁が家出をしてきたり、賑やかな長屋生活がとても居心地いい。放蕩息子が孝行息子になれるのか?!2020/05/06
ままこ
48
大店の放蕩息子、栄之助は自業自得で家を飛び出し訳あり変わった人達がいる長屋に住む事になった。しかし筋金入りの駄目人間はなかなか改められない。そこへ事の発端となった裏切り者の身重の元許嫁が転がり込みどうなる事やら…。色んな出来事があり少しずつ人として真っ当になっていく栄之助。誰もが完全なめでたしめでたしの話ではないが、皆何かを抱え後悔しながらも前に進んでいく『その先へ』温かく切ない人情噺。2017/06/07
九月猫
41
表紙から勝手に、大道芸人たちは実はあやかしなお話かなあと思っていたら、みんな生身の人間だった。生身の人間がこういう形(なり)で暮らすんだもの、そりゃあいろいろあったよね。という背景をぼんぼん育ちのダメダメな栄之助の成長と合わせて描く連作集。栄之助のダメっぷりは筋金入りだけど、育ちの良さが良い性質に作用しているので憎めない。長屋の住人たちもお滝さん親子もなんだかんだいい人ばかりで、ところどころほろり。物足りない部分もあるけれど、温かい読み口は好みです。大家さんの過去はわからないままだし、続きが出ると嬉しい。2017/05/18
はる
35
最初は栄之助の自堕落ぶりにイライラさせられていたけど、長屋の人達が語っていくそれぞれの人生と共に成長していく姿が良かった。特に最後は男を挙げたって感じです。この長屋の人達と弟夫婦がどうやってこれから成長していくのかずっと見ていたくなってしまいました。是非次回作が出るのを期待したいです。2017/09/24
み
34
ジャケ読みした作品。初読みの作家さん。ジャケとは違い、かなり重めのお話したち。救いは、主人公の放蕩息子が地に足つけて自立した成長のお話しでもあったこと♪続編が出たら読みま~す。イイ男になったもんね(^^)2017/11/20