内容説明
当代一の誉れ高い絵師・円山応挙の弟子・吉村胡雪こと彦太郎。その応挙の絵を絵図とこき下ろし、我こそ京随一の絵師と豪語する深山箏白こと豊蔵。彦太郎が豊蔵を殴りつけるという最悪の出会いから、会えば喧嘩の二人だが、絵師としては認め合い、それぞれ名声を高めながら数奇な人生を歩んでいく―。京画壇華やかなりし頃を舞台に、天才絵師の矜持と苦悩、数奇な生き様を描いた、読みごたえたっぷりの傑作時代小説!
著者等紹介
西條奈加[サイジョウナカ]
1964年北海道生まれ。2005年に『金春屋ゴメス』で第17回日本ファンタジーノベル大賞を受賞しデビュー。’12年、『涅槃の雪』で第18回中山義秀文学賞を受賞。’15年、『まるまるの毬』で第36回吉川英治文学新人賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ナイスネイチャ
194
図書館本。円山応挙、池大雅、伊藤若冲、呉春などと張り合った画家の話。色々図書館で借りて絵画を見ながら読んでたので結構読了に時間要しましたが、楽しめました!2015/06/04
紫綺
175
ごんたくれ=暴れ者のイメージがあったのだが、ここではひねくれ者的に使われる。京が舞台なので土地勘がつかみやすく、絵を趣味にしているのでそこも入り込みやすかった。絵を描く表現がすばらしく、実際の絵を観るより圧巻だった。2015/09/10
文庫フリーク@灯れ松明の火
160
柔らかく、優しげな村田涼平さんの表紙に騙されてはいけない。「人を乞うて、人に容れられず、それでも人を乞う」実在した【奇想の画家】と評される絵師・長沢芦雪と曽我簫白をモデルに、京の筆頭絵師・丸山応挙を、ザルや桶を作る職人と罵る深山箏白(簫白)と、応挙を師とする吉村胡雪(芦雪)。絵師として、人として、強烈な自意識持て余す【ごんたくれ】会えば必ず喧嘩する仲であり、もがき苦しみ互いに磨きあう仲の二人。伊藤若冲・池大雅・与謝蕪村と京を豊穣に彩る絵師たちを背景に「人が好きで好きでたまらん」が故に、異端の道をひた走る→2015/07/30
なゆ
120
ああ、読みごたえたっぷりの一冊。『若冲』からすぐ読んだせいか、あの時代の京の絵師たちの関わりや活躍ぶりが余計に生き生きと感じられる。〝ごんたくれ〟とは変わり者、はみだし者みたいな意味。円山応挙の弟子で一門の中のごんたくれの彦太郎(吉村胡雪)と、孤高のごんたくれ絵師である豊蔵(深山箏白)という、二人のごんたくれが反発しあいながらも絵を究めてゆく。絵という世界との出会い、家族との縁の薄さなど、細かな背景があり、ごんたくれながらも憎めない二人に読む手が止まらない。鳥居の謎と、最後の意味深なごんたくれぶりにワオ!2015/10/25
hirune
96
この間「若冲と与謝蕪村展」に行ったので若冲が出てきて嬉しかった。ごんたくれー乱暴者、捻くれ者?どんなに子供が手に負えなくても親が背を向けてはいけないね。彦太郎には与えられなかった父母の愛、師 応挙に父を女性の肌に母を求めて、その執着が全ての不運を呼び遂に死にまで至ったように思えます。でもそれがなければ胡雪という絵師は大成しなかったんでしょうね。天才は生きづらそうだ★いろんな絵師の生き様が面白くて、読み応えありました☆2015/08/06